KX-280B/80B 半波整流用直熱2極管

 

 エリミネーターラヂオの整流管として用いられていたKX-112Bよりも大きな(そしてKX-280よりは小さな)電流が取り出せる球として登場した。フィラメント電流を倍増して、最大出力電流も70mAと2倍強取り出せる様になっている。ST管時代になってもKX-80Bとして製造された。その後、KX-12Fが登場して、あまり使われることなく消えていった。丁度、戦後になって登場したKX-80BK(将に、KX-80Bの傍熱版というのがこの球の命名の由来)やKX-80HKと同程度の直流電流を取り出せる球だ。当時と比較して、必要とするフィラメント電流が傍熱型であるにも拘わらず、約半分となっている点に技術の進歩を感じる。

 「無線と実験」昭和7(1932)年6月号の「新製品紹介」(p.388)では、「新眞空管続々生まる−エレバムが新型強力整流管112Cを製作販売したことは既報の通りであるが、其後、各製作所でも112Cを作り、最近ではサイモトロンで有名な東京電気までが眞似をして、280Bといふのを作った。280といふから両波整流と思いきや、片波整流の強力球即ち112Cの眞似だとは、さてさて大會社の面目とはつらいもの。」ともある。これだと、KX-280Bは、KX-112Cを真似て東京電気が開発した球ということになる。

 戦前の「無線と実験」を読んでいると、製作例も多くてそれなりに使われていた様だ。

 

型 名 Ef/V If/A Epmax/V Ipmax/mA
KX-112B/12B 5 0.5 180 30
KX-12F 5 0.5 300 40
KX-112C/12C 5 1.05 250 50
KX-280B/80B 5 1.25 300 70

 

マツダ KX-280B

刻印ベース。当然ながら、マツダ製。ガラスビード支持。リブ付きの角型プレート。フィラメントは2点吊り。

トップからの眺め。

底部からの眺め。

 

 

マツダ KX-80B

刻印ベース。当然ながら、マツダ製。ST14型となって、KX-80Bとなった。トップマイカにサイドマイカ付き。リブ付きの角型プレートは同様。一見すると、UX-45の様に見えるが、当然ながらグリッドが無いのと、プレートの厚みが少し薄い。

トップからの眺め。トップマーク。

 

KX-280BKX-80Bとを並べてみた。

 

 

(2025/09/28)

 

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