KX-112B/12B 半波整流用直熱2極管

 

エリミネーターラヂオの初期に出力管であるUX-112Aを2極管接続して整流管として用いていたのが、グリッドが除かれて専用の整流管としてKX-112Aが開発され、その改良型としてKX-112Bが登場した。フィラメント電流も倍増して、最大出力電流も30mAと普及型ラヂオ用としては当時では充分な容量を持っていた。ST管時代になってもKX-12Bとして製造されたが、さらにパワーアップ(Epmax180V→300V、Ipmax30mA→40mA)したKX-12Fが登場して、主役の座を譲ることとなった。

型 名 Ef/V If/A Epmax/V Ipmax/mA
KX-112B/12B 5 0.5 180 30
KX-12F 5 0.5 300 40

ここで注意だが、ラヂオセットのKX-112B/12Bの処にKX-12Fを換わりに挿すのは良いが、逆に、KX-12Fの処にKX-112BKX-12Bを挿してはいけない。貴重なKX-112BKX-12Bを昇天させるかも知れない。

 

 

サイモトロン/CYMOTRON(=東京電気/マツダ) KX-112B

刻印ベース。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。

プレートの板の間隔はUX-112Aよりやや狭いかという感じ。

底は丸にマツダの浮き出し模様。

 

刻印ベース。一時期、茶色ベースタイプを製造していた。

底部からの眺め。

トップからの眺め。

 

 

マツダ KX-112B

刻印両丸ベース。プレートの補強リブの形は旧型のまま。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。ベースとガラスとの境界部分に茶色の防湿塗膜がある。製造時期を示すラベルが貼付されている。

底部からの眺め。

トップからの眺め。

 

 

刻印両丸ベース。プレートの補強リブの形が新型となった。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。ベースとガラスとの境界部分に茶色の防湿塗膜がある。

底部からの眺め。

トップからの眺め。

 

 

エレバム KX-112B

 刻印ベース。プレートの補強リブの形がマツダ製と異なる。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。

 トップにMSEのマーク。

 

 

NVV KX-112B

 憧れのNVV製。やはり刻印ベース。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。

プレートの板の間隔は上のブランドよりも更に狭い。

 

 

CHIKARA KX-112B

刻印ベース。プレートの補強リブの形は旧型。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。ベースとガラスとの境界部分に茶色の防湿塗膜がある。

底部からの眺め。

トップからの眺め。

 

 

 

以下は、STタイプのKX-12Bを紹介する。

 

SILVERTRON KX-12B

刻印ベース。プレートの補強リブの形は新型。ガラスビード支持。バイヨネットピンも設けられている。驚くべきことに、ST14型である。KX-112Bと同じプレート電極をそのままSTの外囲器に納めるために、ST12型では納まらず、ST14型となったものと思われる。

内部のプレート構造のアップ。

 

 

SILVERTRON(左)とマツダ(右)のKX-12Bを比べてみた。プレートの大きさがずいぶん異なることが判る。

 

 

マツダ KX-12B

こちらはSTタイプ。赤刻印。当然4本足。

トップマイカの形に注目。サイドマイカは設けられていない。

 

 

KX-12B(左)とKX-12F(右)とを比べてみた。KX-12Fになると、トップマイカの形だけでなく、プレートの大きさが大きくなっていることが判る。

 

 

ドン KX-12B

刻印ベース。管壁には赤字で八角囲みの中に管名がプリントされている。

トップからの眺め。トップマークも赤字でプリントされている。

ベース底面。ピン番号が浮き出しで付いている。グリッドを1番として左回りは当時のナンバリング。

 

 

NEW BEST YSZUDA(安田電球) KX-12B

刻印ベース。管壁に八角囲みの中に管名。ゲッターが多く内部が見えない。ラベルが綺麗。マツダの特許番号も記載されている。ベースとガラスとの境界部分に茶色の防湿塗膜がある。

残念ながらフィラメントが切れている。

 

 

 

(2010/05/30)

(2010/06/08)

(2018/08/26)

(2019/12/22)

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(2025/10/26)

 

 

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