280 80系 両波整流用直熱双2極管

 昔からなぜか整流管が好きでした。中学生の頃、初めて入手した直熱管がKX-12Fだったことが影響しているのかも知れません。

 ここでは、ラジオやオーディオアンプに良く使われた(そして今でも使われている)ポピュラーな280及びその後に登場したST型の80を並べてみました。特に、4ピラー、メッシュプレート、ブルーチューブが好きなので偏ったコレクションとなっています。

 

 

RCA UX-280

刻印ベース。

電極部分のアップ。

 

 

Cunningham CX380

元箱には最大交流印加電圧300Vと記載されています。(80STは、最大350V)

刻印ベース。

 

 

Sylvania SX-280

元箱。見づらいですが、こちらも同じく最大交流印加電圧300V。

刻印ベース。ラベルが綺麗。

リーフマークが綺麗。

 

Sylvania SX-280

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。点灯すると透けて見えるのが堪らない。

トップのリーフマークも一部残存している。

 

 

Arcturus 180

刻印ベース。ブルーガラスが美しい。点灯するとフィラメントのオレンジ色と相まって一層きれい。

 

 

Raytheon ER280

旧型ボックスプレートタイプの元箱です。

刻印ベース。ラベルが綺麗。

旧型ボックスプレートで黒化処理がなされています。当然4ピラータイプ。

 

以下はまた別の球です。

刻印ベース。ラベルが綺麗。

左側が旧型ボックスプレートタイプで上のボックスプレートのものよりも古いと思います。トップマイカの形が微妙に異なります。どちらも4ピラータイプ。

 

 

De Forest 480

刻印ベース。

 

 

Sparton C-280

刻印ベース。同社得意の黒メッシュプレートタイプ。ラベルが綺麗。

ガラスバーサポート。

 

Sparton 80

同じく黒メッシュプレートタイプ。

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。

マイカサポート。

 

 

Perryman PR280

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。同社得意のセラミックサポート。

 

 

CeCo R-80

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。ラベルが綺麗。

 

こちらは別の球。

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。

 

 

Ceco 280

刻印ベース。ラベルが綺麗。

 

 

GoldSeal X280

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。ラベルが綺麗。

 

 

Van Dyke X-280

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。ラベルが綺麗。

 

 

unknown X280

刻印ベース。メッシュプレートタイプ。

 

 

Majestic G-80

刻印ベース。

 

 

National Union NX280

刻印ベース。リブ付きプレート。

 

 

Wizard 280

刻印ベース。ゴールドタイプで綺麗。

 

 

マツダ KX-280

刻印両丸タイプベース。

トップマーク。

 

 

Philips 1560

元箱。

ネットウインドウタイプ。ブラウンベークライトベース。足はUX。ステムはジュメットではなくプラチナ。

トップマーク。

 

 

以下は、STの80を紹介します。

 

RCA/Cunningham 80

刻印ベース。着炭の黒化リブ無しプレート。

トップからの眺め。

 

 

ドン KX-80

元箱。放マーク付き。32018とある。

同封されていたデータシート。

刻印ベース。ラベルが綺麗。足ピンは鉄。縦リブ付きのプレート。

注目すべきは、プレートからのステムへの引き出しで、ステムからのプレート支柱に、別の線をステムの上部で溶接した上で(放熱のため)一旦下方に引き出された後に又折り返されて戻されてステムの導入部(ジュメット線)につながっている。多分、プレートからの伝導熱からステム(のジュメット線)を保護するためと想像される。

昭和9(1934)年8月号の「無線と實驗」の56〜58頁には、T.I.生(ドン眞空管製作所)氏の”よい眞空管は如何にして製造されるか”という記事が載っており、58頁には、「KX-280 旧名で、今は KX-80。此の整流管は相当大きな電流が通る為、其のプレートは可成り熱せられる。此熱は先ずプレート支柱を伝はり、其下にあるヂュメットワイヤを熱する。ヂュメットワイヤーは、電流の通過する通過熱(RI2)に加ふるに、プレートの熱を受ける為、忽ち自分自体が変化する計りでなく、之に確かり熔着して居る硝子迄も、其の質を換元して眞空管の漏洩を来す。之は眞空管の頸をなして居る所謂ステムの硝子の材料も悪い。鉛が分離する等の欠陥から来るもので、此辺になると硝子の品質を論じなければならなくなる。併し、我国に於いては目下の所、其の質の改良は、産出する原鉱に依る事故、所謂 KX-80 の寿命の短いことに対しては、何とか硝子の品質を度外視して、構造上から、其欠点を除かねばならない。其の為にプレートの支柱と、之に電流を導く導入線とを別になし、しかも各電極の軽軸部にある位置を、充分考慮に入れて設計する必要がある。之に依て、其の寿命を充分長くすることが出来、且つ硝子の欠点を其の構造に依て補ふ事が出来る。」と出ていることから、この想像どおりであることが裏付けられた。

そして、昭和11(1936)年1月号の「無線と實驗」には、ドン眞空管KX-80の1頁広告が載っており、社としても力を入れていたことが窺われる。そこには、「放送協会認定品 32019」や「新案登録 194417番」と共に球のイラストが掲げられており、やはり上の写真と同様にプレートからステムへの引き出しが描かれている。

さらに、橋本明洋さんの「日本真空管大全」のp.192には、ドン眞空管ドンKX-80のデータシートが掲載されており、そこには、「用途及特徴 … (ロ)超長寿命原理応用(プレート支持と導入線とが別個に設計されているのに御注意ください)の為従来のものより断然寿命が長くなりました。」と謳われている。

トップからの眺め。トップに放マーク。サイドマイカも設けられている。

 

元箱。完全ではない。

放マーク付き。32019とある。

刻印ベースでは無くなった。ラベルも無くなった模様。足ピンは鉄。〇に放マークがトップから管壁となった。縦リブ付きのプレートは同じ。プレートからステムへの引き出しも同じ構造。

トップからの眺めも同じ。放マークは管壁に移動。

 

 

KOトロン KX-80

刻印ベース。

注目すべきは、大きなST16型の外囲器。そして、やはりプレートからのステムへの引き出しが、プレート支柱をそのまま導入線としているものの、ステムの外側を通って下方に迂回された後に別途ステムのベースに出されている。こちらも、プレートからの伝導熱からステム(のジュメット線)を保護するためと想像される。各社それぞれ苦労の跡が窺われる。

トップからの眺め。トップマーク。83風のトップマイカ。

 

 

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