De Forest DV/DL シリーズ

 三極管の発明者として有名なDe Forestが創った会社であるDe Forest Radio Telephone and Telegraph Co.は、1923年にDV1DV2DV6Aの3種のラジオ球を発表しましたが、その後1924年にDe Forest Radio Co.として改組されてから、DV5が追加され、1925年にはDV3DV3Aが追加され、1926年にはDV7DL2DL4DL5DL7が加わりました。1927年になるとDV型(足が通常のUVベース)が廃止され、DL型(足がUXベース。ロングピン。)が残ると共に、DL9DL14DL15及びDRが発表されました。なお、De Forestはアメリカのラジオグループに参加しませんでしたのでGEのトリタンフィラメントの特許が使えず、イットリエーテッドタングステンフィラメントを使っているとのことです。

 ものの本にはこのように書かれていますが、下にDe Forest Radio Telephone and Telegraph Co.の元箱入りのDV3(茶色ベークライトベース)が存在するのであまり当てにはなりません。どうもニッケルベースからベークライトベースまではTEL&TELで、アイソランタイトベース以降RADIO Co.かとも思いますが、今のところサンプルが少なくて何とも言えません。

 ほとんど管壁の全面にゲッターが飛ばされているので内部はほとんど見ることが出来ません。最後までトップシールスタイルを貫き、丁寧にバヨネットピンが設けられたタイトベースの綺麗な球で、金属缶に入っているのも気に入っていて、当方の好きな球のシリーズの1つです。

 

 初めに、DVタイプを紹介します。

DV2

 検波増幅用 FIL.VOLT.  5 FIL. AMP .3 PLATE VOLT. 40-150 とある。RCA系ではUV-201A相当。箱の下部には米国特許日が印刷されており、最も新しいのは、May 1, 1923と読め、会社名も"DE FOREST RADIO TEL.&TEL. CO."と印刷されている。

 1923年製と思われる最初期のニッケルベース。足は当然UVで底はショーベース。ガラス壁面に、de Forestのロゴや特許日や球の型番が印刷された丸いオレンジのシールが張り付けられている。

 メタルベースに刻印。トップチップにラベル。

 

 こちらは中期型。上と同様の元箱に入っていた。浮き出しマーク入りの茶色のベークライトベースとなった。シールは旧型のまま。

 

 鉄製の缶に入れられる様になった。管名は側面と蓋に円形の紙張り付けてある。管壁の最下部に会社名が"DE FOREST RADIO Co."とある。

 後期型。ベースがアイソランタイト(Isolantite)といわれる、白くてザラザラしたタイトベースとなる。ベース側面に黒い丸形スタンプ。管名は管壁に巻き付けたオレンジ色のラベルに印刷してある。なお、タイトベースで丸いシールの球も存在している様だが所持していない。(以前、下の黄色っぽいベースの方が古いと紹介しましたが、逆と確認出来ましたので修正します。)

 タイトベースで丸いシールの球が上のベークライトベースの球よりも早く登場し、その後一旦ベークライトベースになり、再度アイソランタイトベースとなったという人もいるが、タイトベースで丸いシールの球を所持していない以上、ここでは、上に述べた様に、メタル(ニッケル)→茶ベークライト→アイソランタイトという順番で丸いシールはアイソランタイトの時まで使われ、以降横長シールに切り替わったということにしておきたい。

 

 アイソランタイトベースでも後期型。黄色っぽくてツルツルした感じのベース。上の白くてザラザラしたベースより新しい。(このサンプルは1926年2月頃)。ベース側面に黒い丸形スタンプ、管名が管壁に巻き付けたオレンジ色のラベルに印刷してあるのも同じ。なお、この後に製造された他のDLタイプのベースも、初期のものと同様のザラザラした感じのものになっている。所持しているのはこれだけで、偶々製造されたものだろうか。

 

 DV2勢揃い。3つの異なるベースがあると楽しくなります。

 

DV3

 検波増幅用 FIL.VOLT.  3 FIL. AMP .06 PLATE VOLT. 40-80 とある。RCA系ではUV-199相当(但し、足は通常のUVベース)。箱の下部には米国特許日が印刷されており、最も新しいのは、May 1, 1923と読め、会社名も"DE FOREST RADIO TEL.&TEL. CO."と印刷されている。

 初期型。丸形浮き出しマーク入りの茶色のベークライトベースでシールは旧型のままなのはDV2と同じ。中は見えにくいが、米国球には珍しく、Type 20と同様に円筒型のプレートが水平に納められている。

 

 鉄製の缶に入れられる様になった。管名は側面にあるが蓋にはない。剥がれたか?管壁の最下部に会社名が"DE FOREST RADIO Co."とある。

 後期型。アイソランタイトベースとなる。ベース側面に黒い丸形スタンプ。管名は管壁に巻き付けたオレンジ色のラベルに印刷してある。見えにくいが、右の写真のステムの上に円筒水平プレートが見える。

 

 DV3勢揃い。この可愛い姿が気に入っている。

 

DV5

増幅用とのことだが、DV2とどう違うのか。規格が微妙に異なる様だが、確かに差し替えて聴くと微妙に変化する様に思われる。

 

足がUXでベースのスタンプも四角で、どう見てもDL5に見えるが、ラベルにはDV5と表示されている。間違えて貼られたか、あるいは足とラベルの表示が完全に一致しない時期があったのか、DL5のラベルがなくて間に合わせに代用されたのか、謎の1本(珍品?)。

 

DV7

 アイソランタイトベース。ガラス管が太めのタイプと細めのタイプとがあったが、これはスリムタイプ。こんな球でも出力管で(出力65mW)、RCA系で言えばUX-112に相当する。

 

 以下に、DLタイプを紹介します。DLシリーズでも1926年製造の初期型には茶色のベークライトベースのものがあったそうですが所持していません。所持しているものは全てアイソランタイトベースに横長タイプのラベルでベース側面のスタンプが黒枠型です。

DL3

 DV3の足をUXとした球。

 

DL4

高周波増幅用とのことです。

 

DL5

DV5のUXベース。

 

DL7

 DV7の足をUXとした球。

 

DL14

輸送箱。

輸送箱の中に綿にくるまって収められている元缶。この中に下の太管がデータシートと綿を巻かれてキツキツの状態で収められている。

太めのガラスにアイソランタイトベース。吊りは1個の逆V字型フィラメント。立派な出力管でRCA系で言えばUX-171に相当する(出力600mW)。音も微妙に異なる様で気に入っている。

 

DL15

検波用とのことで、アルカリ蒸気が封入されているらしい(未確認)。検波後の音が違うのだろうか。RCA系で言えばUX-200Aに相当する。

面白いのは、プレートの両側に、4つの横長長方形のスリット(窓)を開けていること。(以前、片側だけと書いていましたが、良く見てみたら、両側に設けられていました。謹んで訂正します。)

 

 他にも見つけ次第追加します。

 

(2011/05/29)

(2011/06/08)

(2011/06/25)

 

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