2A3 電力増幅用直熱3極管

 

2A3は、245のパワーアップ版として1933(昭和8)年に開発されました。外囲器をST16とし、電極構造を設計し直して、Gmを増大させ、内部抵抗を低くし、大出力(3.5W)を取り出せる様にしています。

電蓄やオーディオアンプに世界中で広く使われて、非常に有名になりました。併せて種々のバリエーションが豊富に開発されました。耐震化構造とした2A3W、フィラメントを2.5Vから6.3Vとした6A36A3のオクタルベースが6B4G、ベースをUXのまま傍熱化した2A3H6B4Gを傍熱化した6A5Gなどで、我が国のUY-6A3Bも傍熱化して内部抵抗が大きいとは言え同族に含めて良いでしょう。まとめて紹介します。

後期型の2段(H型)プレートタイプや2枚プレートタイプの方が有名ですが、開発当初の1枚プレート(シングルプレート、モノプレート、単板ともいう)タイプは、昔から憧れていました。特に、そのフィラメント構造が独特で、細いフィラメントが10往復している様は、見ているだけでも痺れます。もちろん出てくる音も最高で、これが本当の2A3の音と思います。後期の2段(H型)プレートや2枚プレートの2A3は、失礼ながら、"2A3モドキ"とでも言うべきでしょう。(この頃某国で製造のシングルプレート2A3として売られている球はもちろん論外です。)そもそも、規格からして、2A3は、245/45の2本分ではない(Gmは2倍以上でRpは半分以下)ので、初期の1枚プレートの方が本来の規格を満たすもので、後期の45パラ的な球では規格を満足していないのではとも勘ぐりたくなります。

かつて淺野勇さんなどが盛んに言われていたことが、実物の音を聴いてやっと実感できました。「1枚プレートでなければ2A3に非ず」と極言しても良い程、惚れ込んでいます。米国製でも各社で製造され、また日欧を含めて世界中で製造されていましたので、後は是非とも、(他社の米国製と共に、)イギリス製とフランス製とを入手して、2A31枚プレートでもって世界一周をしたいものと思っていますが、値段も高くなってしまい望み薄でしょう。

 

2A3

 

RCA/Cunnigham 2A3

RCA/Cunnighamの1枚プレート(コイルスプリングタイプ)には、管名の2A3が管壁のガラス部にプリントされているのと、ベース部に刻印されているのと、2つのタイプが存在します。

以前には、ベース部に刻印されているのを前期型とし、管壁にプリントされているのを後期型としていました。

ところが、その後気になって、Dowd氏の論文と手持ちの球を照らし合わせたところ、逆に、管壁にプリントされているのが前期型で、ベース部に刻印されているのが後期型であることが判明いたしました。お詫びして訂正いたします。

本家本元のRCA/Cunnighamの1枚プレート(コイルスプリングタイプ)の前期型。管名"2A3"の表記が管壁にプリントされている(左の写真)。手元の球では、1933年11月から1935年1月までの製造時期を確認した。

フィラメント構造のアップ。細いフィラメントが、上下1本ずつ横に伸びた金属棒の間に、グリッド線の様に10往復に亘って巻きつけられている。下側の金属棒は丁度下側マイカ板に隠れて見えないが、真ん中で切られており、各々の棒に溶接されたフィラメントリードが垂直に下がってステムに伸びている。フィラメント加熱電流は、下側半分の金属棒から5往復分(10本)並列のフィラメントを通って上の金属棒に流れ、上の金属棒から他方の5往復分(10本)並列のフィラメントを通って他方の下側半分の金属棒に流れる。

すなわち、フィラメントは1往復の10本パラレル接続となっている。このフィラメント構造が、繊細でありながら力強い独特な音色の源泉と確信している。

上部からの眺め。2個のコイルスプリングで上部の金属棒を持ち上げてサポートしている。トップマイカは円形。サイドマイカも設けられている。

 

「無線と実験」昭和9(1934)年10月号pp.95〜98に、(東京)狩野生氏の”店頭用としての247PUSH”との記事があり、その中で、「設計については非常に頭を悩ませました。高周波部はともかく低周波部に於てのパワー球の選択ですが、筆者は7月号にも申し上げましたように、新球としての2A3を試用したく、某商店へ参りましたら一金23円也の事に度肝を抜かれて断念の余儀なきに至りました。 もっともこれは和製ではなく、R.C.Aのものです。新球とも云う意味と為替関係からかくも高価なものとなったのではないでしょうか。尚この2A3を使用に当たっては整流球として高周波二段とプッシュプルに280は無理で、これはやはり5Z3という整流球を使用せねばなりません。2A3の価格以上の如くで、5Z3は聞かずに帰りました。国産の超45と比べてみますと型がひとまわり大きく構造も旨く出来ています。」(p.95但し、旧字は適宜新字あるいはひらがなに変更。)とあるのは、まさにこの球の事でしょう。当時から高価で垂涎措く能わざる逸品であったことが判ります。

そして、「無線と実験」昭和9(1934)年12月号pp.77〜80に、吉田一郎氏の”2A3プッシュプルに就いて”との記事があり、その中で、「はしがき・・・尽くるを知らない眞空管工業は、相互コンダクタンス 5500 マイクロモー、プレート抵抗 765 オーム、出力 15 ワットと言ふ眞空管 2A3 を生みました。此の眞空管こそは従来の 250 に代わるべき物であると思ひます。然し乍ら此の眞空管は未だ国産品が見受けられませんが、筆者が RCA2A3 で試作した結果が相当良好にて 250 に比しハムもずっと少く出力もかなり大きい様でしたので、其の試作した結果を発表して皆様の幾分の参考に供したいと思ひます。」及び「・・・次にラストの 2A3 ですが、フィラメントが多数シリーズパラレルにつながれている関係上被膜面積が非常に大きくなっているため、眞空管の重要な特性の一つである相互伝導率は非常に大きく 245 の約2倍半の即ち実に 5500 マイクロモーで然もプレート抵抗は 800 Ωにも満たないのでありますから、プレート電圧に相当注意しなければなりません。 具体的に申せばプレート電圧 40 ヴォルトの変化に対し約 50mA ものプレート電流が変化する訳で(実測の結果も略ぼ之の通り)すから B 回路のレギレーションをかなり良好に設計する事が肝要で、次の各部分について考へるべきです。・・・」(誤字、旧字は適宜変更しました。)とあります。

また、「無線と実験」昭和10(1935)年1月号pp.138〜141に、(京都)F. I. 生氏の”2A3に依るフォノ・ラヂオ”との記事があり、その中で、「緒言 かねてより一ツこれなら満足できるという様なフォノ・ラヂオを作りたいと思って居った。まず第一に作ったのは終段 171 の高周波一段付のセット、その当時では相当な物でしたが、次に 245 のダイレクト・カップリング、之を聞き、やがて R.C.A. より 247 が出て 245 等とは比較にならぬ程の高音の良く出るという広告、此れに瞞着されて早速 R.C.A. のを求めて大なる期待の下に作った。一時は成程と思ったが、(今までの245 の低音が勝ち過ぎていたのでか?)よくよく聞く間に深みのない音、音楽的でない音、初め思ったのと正反対、今までどれ一ツとして満足なのは得られない。又すぐ 245 にもどり、今度はプッシュプルをやってみた。ところが昨年(引用者注:1933(昭和8)年) 2A3R.C.A. に依って出され、或る人に高音が 柔らかくて綺麗なこと 245 以上(特にプッシュにて)だと聞いた。が、規格表を見るとプッシュプル15W、こんな出力では手も出ないと思った。しかるに驚いたことにはEp300V、250 プッシュの11W、Ep500V に比しずーっと低い。これなら所要電力もそう 245 と変わらないし、家庭用に使っても不経済でない。又学校の運動会等公衆用にも使用できるというので 2A3 が日本製で出来るのを待った。が、とうとう待ちきれず 45 円(引用者注:プッシュプルで、もちろんモノラルなので2本の価格。上の記事の価格(1本23円)とも符合する。)を投じて R.C.A. のを求めた。 ついに音質、音量、すべての点に満足し得るのが完成したので、紙面を拝借して発表する。」及び「第1図の通り 58 の高周波二段、57 のプレート検波兼低周波増幅、56 の抵抗結合低周波増幅、最終は 2A3 に依るプッシュプル電力増幅、整流は 5Z3 、( 5Z383 と同規格で唯、水銀蒸気が入って居りません。 83 で充分間に合います。)外に、一般の受信機とは異なって整流球 82 を一個使用し、之より 2A3 のバイアスを供給します。 15ワットの出力の出る割にB電圧の低いのに気づかれるでしょう。・・・次は 2A3 であります。この球は大変高能率な三極管であって、全部で20本のフィラメントがシリーズ・パラレルに接続してありまして、大なるフィラメント面を形成して居りますから、したがって相互伝導率は相当に高いが、しかし増幅率は 250 より高いです。 此の球のプッシュプルで300Vをプレートに加え、62ヴォルトのバイアスにて15ワットの出力が得られます。これはフィックスドバイアスに基づいた時の値であります。・・・」(誤字、旧字は適宜変更しました。)とあります。

なお、価格ですが、「無線と実験」誌の昭和9(1934)年12月号の裏表紙には、ラヂオ受信用マツダ眞空管一覧表が載っており、それによると、高い順に、UX-250 14.00円 UX-2A3 10.00円 KX-281 9.50円 となっており、ちょうど新発売となった様です(KX-5Z3はまだない。)。これによると、本家の米国RCAの半額以下で買えた様ですが、それでも10円というのは、当時としてはかなり高価です(ちなみに、UX-12AKX-12Bは1円ちょうど)。

 

 

本家本元のRCA/Cunnighamの1枚プレート(コイルスプリングタイプ)の後期型。管名"2A3"が管壁へのプリントから、ベースへの刻印となった(真ん中の写真)。他の構造は同じ。手元の球では、Harrison第1工場製と同第2工場製の両方を確認したが、それら全ての製造時期は、(偶々なのか)1935年6月から同年8月までだけだった。

フィラメント構造は全く同じ。プレートのリブは3本。溶接でカシメ穴はない。

上部からの眺めも全く同じ。

 

 

Arcturus 2A3

フィラメント構造など基本的な構造は同じ。但し、プレートのリブは4本で、四角穴でカシメている。

上部からの眺め。特徴的なのは、トップマイカ(特にサイドマイカ)の形。

 

 

Philco 2A3

製造は、Sylvaniaと思われる。フィラメント構造など基本的な構造は同じ。但し、プレートは着炭されており、丸穴でカシメている。そして、ステムから前後1本ずつのピラーがトップマイカに固定され、併せて電極を保持している。

上部からの眺め。ステムからのピラー以外は、同様の造り。

 

 

Canadian GE 2A3 (カナダ)

1枚プレートでも初期型のカンチレバースプリングタイプ。(フィラメント切れ多数)

 

 

Fivre 2A3 (イタリア)

元箱。

フィラメント構造など基本的な構造は同じ。但し、プレートは着炭されており、丸穴でカシメている。管壁に管名とブランド名がプリントされており、ラベルには、1944年4月19日の日付がスタンプされている。

上部からの眺め。特徴的なのは、トップマイカの形とワイヤーによる電極保持構造。グリッド支柱に銅線を使用している。

 

 

以下は、国産のUX-2A3 1枚プレートを紹介します。

 

マツダ UX-2A3

マツダの1枚プレートの前期型。ベースの刻印はマツダのみ。管名"UX2A3"の表記が管壁にプリントされている。流石にRCA/Cunnighamのコピーだけあって良く似ている。黒化着炭プレート。

上面側のアップ。

上部のアップ。

プレート部のアップ。

上部からの眺め。細かく見比べるとRCA/Cunnighamとは幾つか違いがある。トップには、〇にマツダのマーク。

 

 

マツダの1枚プレートの後期型。管名"2A3"が管壁へのプリントから、ベースへの刻印となった。他の構造は同じ。RCA/Cunnighamのコピーとはいえ、プリントから刻印という管名の表記の仕方までまねるとは。黒化着炭プレート。

上部からの眺め。同じ構造だが、トップマイカがマグネシア塗布でなくなった。

 

 

こちらは、別の球だが、全く同じ造り。

上部からの眺めも全く同じ。

 

 

刻印ベースで管名も刻印のまま、黒化着炭プレートではなくなった。

上部からの眺めは同じ。トップには、〇にマツダのマーク。

 

 

ドン UX-2A3

元箱。UX-超45の元箱と同じデザイン。

刻印ベース。管名は管壁にプリント。ラベル付き。こちらは、マツダとは全く異なり、ドン独特の電極構造。プレート構造とフィラメント構造共にドン独自の開発と思われる。プレート構造は、熱的に弱いプレート中央部に放熱を兼ねたフィン及びプレート固定用ピラーが来る様に設計されている(WE300A/Bと同じ構造。)。6本のフィラメントフック用ピラーはステムから立ち上がっている。UX-超45の流れを汲む風格のある造りには惚れ惚れとしてしまいます。私の宝物の1つ。

フィラメント構造は、UX-超45と同じ構造で、上下2本のバーの間にジグザグ状に3往復張り巡らせたフィラメントを真ん中で2つ折りにして、折った点6ヶ所を吊りフックで吊っている。UX-超45の4往復パラレル(2.5V1.8A)に対して、1.5倍の6往復パラレル(2.5V2.5A)となっている。すなわち、1往復の6パラレル接続(12本)フィラメント構造となっている。

上部からの眺め。6点吊りフィラメントが美しい。

 

 

元箱。当然ながら同じデザイン。

刻印ベース。管名は管壁にプリント。ラベルなし。同じロットで基本的には同じ造りだが、6本のフィラメントフック用ピラーは、ステムからではなく、上部マイカで固定されて立ち上がっていて、足は鉄ピンである。

上部からの眺め。6本のフィラメントフック用ピラー固定部の構造以外は全く同じ。

 

 

トーヨー UX-2A3

元箱。底の方が"UX-2A3"とスタンプされているのが良く見える。

UY-6A3Bの様な形のフィン付きプレート(但し、着炭黒化している。)。管壁には、管名と一級マーク、反対側にはブランドマークがプリントされている。

上部からの眺め。コイルスプリングによる2往復フィラメント。コイルスプリングを取り囲む様に設けられた黒化大型グリッドフィン。

 

 

 

以下は、1枚プレートでない2A3を紹介します。上記の理由により、所持しているのは少数です。

 

RCA/Cunnigham 2A3

元箱。側面には、RCAのマークの面とCunninghamのマークの面とが交互にある。

コイルスプリングタイプの2段(H型)プレート(黒色)初期型。1枚プレートから変更になってまだ間もない頃。CUNNINGHAMRADIOTRONと両方が刻印されたベース。1936年(初冬?)製。

下部からの眺め。下部マイカと共にフィラメントとグリッドの支持構造が見える。

上部からの眺め。コイルスプリングによる2往復フィラメントのダブル(パラレル)。黒色H型プレートでサイドマイカ付き。

 

 

RCA 2A3

コイルスプリングタイプの2段(H型)プレート(黒色)初期型。刻印が、Cunninghamのマークが無くなりRCA Radiotronのみとなった。これも1936年(秋?)製。ただし、上のRCA/Cunninghamよりも新しい製造のはずなのに、Dowd氏の論文によれば製造時期は逆に古くなってしまう。謎がまた増えた。

上部からの眺め。コイルスプリングとH型プレート等内部構造は、上の球と全く同じ。

 

 

RCA 2A3/VT-95

マイカ支持フィラメントタイプの2段(H型)プレートの後期型2A3です。軍用。銀プリントでサイドマイカ付きなので、これでも古いタイプ。黒っぽい光沢リブ付きプレート。ゲッターはダブル。

上部からの眺め。コイルスプリングが無くなって、マイカ支持フィラメントとなる。

マイカ支持フィラメントの支持部のアップ。コスト上、製造行程上では大きな改良だったのでしょうが、私はこれが大嫌いです。

 

 

RCA 2A3

上と同様、マイカ支持フィラメントタイプの2段(H型)プレートの後期型2A3です。銀プリントでサイドマイカ付きなので、これでも古いタイプ。黒っぽい光沢リブ無しのスムースプレートと書いていましたが、写真をよく見ると浅くリブが付いていました。ゲッターはダブル。

上部からの眺め。上の球と同様。

マイカ支持フィラメントの支持部のアップ。上の球と同様。

 

 

Raytheon 2A3

元箱。1934年(以降)の新型箱。

リブ付き黒化2枚ボックスプレートタイプ。4ピラー。刻印ベース。1枚プレートではないがお気に入りの1本。マグネシウムゲッター。

上部からの眺め。

 

 

上の球と同じく、リブ付き黒化2枚ボックスプレートタイプ。4ピラー。刻印ベース。こちらはバリウムゲッター。

下部からの眺め。4ピラーステムや下部マイカと共にフィラメントとグリッドの支持構造が見える。

上部からの眺め。

 

 

 

以下は、国産の2段(H型)プレートUX-2A3です。

 

マツダ UX-2A3

戦前タイプ。これも流石にRCA/Cunnighamのコピーだけあって良く似ています。刻印ベースでなくなった。ラベル貼付。

上部からの眺め。コイルスプリングによる2往復フィラメントのダブル(パラレル)。本家とは異なる黒色H型プレートでサイドマイカ付き。トップには、〇にマツダのマーク。

 

 

こちらは、一級マークがスタンプされている。足は真鍮ピン。

上部からの眺め。構造は上の球と同じ。トップマイカがマグネシア塗布でなくなった。

 

 

こちらは、金プリントで戦後も大分落ち着いた頃の製造。足もメッキピンに戻った。内部の構造は上の球と同じ。

上部からの眺め。基本的な構造は上の球と同じ。中央部の支柱に、トップマイカ押さえのための細長いバーが設けられた。

 

 

別の球。内部の構造は上の球と同じ。

上部からの眺めも全く同じ。

 

 

我が国でも、各社で製造されましたが、私が所持しているのは、マツダ東芝)のみです。

 

 

2A3W

 

Sylvania 2A3

緑色で"2A3"とプリントされていますが、耐震型の2A3Wです。

カーボンスートで中が良く見えませんが、2枚プレート構造です。

 

 

6A3

6A3は、2A3のフィラメントを6.3Vとした球です。

 

Raytheon 6A3

元箱。1934年(以降)の新型箱。

2枚黒化プレート構造。独立した2組の電極(45相当の直熱3極管)が並列接続されている。オレンジプリントベース。

上部からの眺め。フィラメントの吊りは、ワイヤーフックタイプ。トップマイカの固定は、サイドマイカではなく、4本のワイヤーとなった。

 

 

Raytheon 6A3

黄色プリント。

1枚プレートの6A3という触れ込みで購入しましたが、どう見ても、純正WE刻印タイプのVT-52です。

 

 

Philco 6A3

ボロボロですが、元箱。

2段(H型)黒化プレート。プレート構造は、2A3の2段(H型)プレートと全く同じ。黄色プリントベース。

上部からの眺め。フィラメントの吊りは、ワイヤーフックタイプ。マグネシア塗布のトップマイカは、Sylvania独特のトップマイカを貫通させた2本の長いワイヤーで固定されている。

 

 

Canadian Marconi 6A3

製造は、Tung-Sol

カーボンスートされているが、2枚プレート構造。

 

 

2A3H

2A3Hは、2A3の傍熱型として開発されましたが、互換性を考慮してベースを同じUXとした為、カソードがフィラメントの中点に接続されていて、単独では引き出されていません。RaytheonNational Unionで製造されました。

 

Raytheon 2A3H

元箱。1933年の旧型箱。ということは、2A3が世に出た1933年の内には早くも傍熱型の2A3Hが開発・製造・販売されていたことになる。

刻印ベース。4ピラーステム。円筒形の傍熱型3極管用の空間が3組並列で設けられた黒化プレートの内部にヒーターとグリッドが3組並列に設けられた特異な構造。これで本当に2A3と同特性かと不思議な気がします。プレートにカシメ孔は無く、溶接で固定。バリウムゲッター。

3組のヒーターとグリッドが見える。ヒータースリーブ(カソード)の頂部を3つ共潰すことにとって、各々の電極でヒーター中点とカソードとを接続している。S字状の上部のワイヤーで3つのグリッドを連結して、4ピラーの1本からステムへグリッド引き出し線として取り出している。各電極のヒーターは電極の下方で並列に接続されている。

 

 

National Union 2A3H

元箱。

刻印ベース。電極が3組並列で設けられている黒化プレートは、四角孔のカシメで固定。プレートを半円形に取り囲む黒化放熱フィンが独特の形状。右から2番目の写真で、3つ並んだ電極の内、一番左側の電極の右側のグリッド支柱が下に伸びてステムへグリッド引き出し線として取り出している。

上部からの眺め。3組のヒーターとグリッドが見える。ヒータースリーブ(カソード)の頂部を3つ共潰すことにとって、各々の電極でヒーター中点とカソードとを接続している。各電極のヒーターは電極の下方で並列に接続されている。見えにくいが、3組のグリッド頂部を繋ぐ幅細のバーが2本架け渡されている。

 

 

6A5G

6A5Gは、6B4Gのフィラメントを傍熱化した球です。この球は、カソードがフィラメントの中点に接続されると共に、8番ピンに引き出されています。

 

Raytheon 6A5G

元箱。1934年(以降)の新型箱。

プレート構造は、2A3の2段(H型)プレートと全く同じ。オレンジプリントベース。

上部からの眺め。一見すると、直熱管に見える。フィラメントの吊りは、ワイヤーフックタイプ。一部マグネシア塗布のトップマイカは、Sylvania独特のトップマイカを貫通させた2本の長いワイヤーで固定されている。

内部を良く見ると、フィラメント状のヒーターを取り巻いて細いスリーブ(白く写っている)が設けられている。これがカソードとなる。

 

 

UY-6A3B (日本独自球)

UY-6A3Bは、軍用に開発されました。6A3のフィラメントを傍熱化した球という訳ではありません(Gmが小さく、Rpも大きい)が、便宜上ここにまとめて紹介します。

 

マツダ UY-6A3B

"19-7"とプリントされている。

ヒーターが4本並んでいる姿は壮観ではあるものの、出てくる音は、どうにも今一つ冴えないという印象を受けるのは私だけでしょうか。

 

別の球。ゲッターが消えているので内部が良く見える。"19.6"とプリントされている。

トップからの眺め。

 

 

 

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