WE300A/B 電力増幅用直熱3極管

 

WE300Aは、WE252Aの後継として登場した。その後、WE300Bとなった。戦前に有名映画館でWE製音声増幅器の終段に使われていた。戦後になってからも、本家WEで、プリントタイプ(オールド、ベルマーク、再生産タイプ)が造られ、英国STCでも4300Aとして同等管が製造された。我が国でも、かつて及び最近製造された。中国等の国々でも名前だけ300Bと名付けた紛い物が沢山造られているが、300Bとして、私が認めているのは、本家WEの刻印タイプのみ。本家WEでも製造時期が降るほど酷くなる。オールドタイプでも刻印タイプと聴き比べると断然違う。この球は、あちこちで書かれ紹介され有名になり過ぎたので、私が今更とやかく述べる必要はない。

 

 

WE 300A

WE300Aにもいくつかのタイプが存在した様だが、所持しているのはこのタイプのみ。リブの付いた大型の黒化板プレート。出てくる音は将に大人の味わいで陶酔できる。私の宝物の1本。

トップのマイカサポート。フィラメントは当然4本吊り。まだ、サイドマイカ付きのおむすびマイカにはなっていない。

 

 

WE 300B

元箱。

泣く子も黙るWE300Bの刻印タイプ。WE300Bの刻印もいくつかのタイプが存在した様。見ているだけで風格が漂う。音はもちろんスケール感と力強さを兼ね備えている。下の球と共に、私の宝物の1本。

トップマイカは、有名なおむすびタイプ。ゲッター台は、カップ型のダブル。

 

 

こちらは、違う球の元箱。前の箱とは高さが微妙に異なる。側面には、"THEATRE SUPPLY"のラベルが貼られている。

こちらも、同じWE300Bの刻印。ALTECのラベルが貼ってある。WEでは毎度のことながら、ステムの上面がフラットなのが気に入っている。

こちらのトップマイカも、同様におむすびタイプ。

 

 

STC 4300A

本家WEと提携して製造販売していた英国STC4300Aもいくつかのタイプが存在した様だが、所持しているのはこのタイプのみ。側面にSTCのマークと管名が白(銀)プリントされており、さらにラベルには"2 MAY '52"とスタンプされている。プレートは、灰色のジルコニウムを塗布したニッケルプレート。ガラスの外形にヨーロッパを感じる。バヨネットピンはない。

トップからの眺め。フィラメントは当然4本吊り。サイドマイカ付きだが、おむすび型でない円形のマイカサポート。

 

 

岡谷 HF-300B

元箱。こちらは岡谷電機産業(株)がWE300Bをコピーして昭和49(1974)年に製造販売した純国産品。HFは、"Hi-Fi"から命名したのではと勝手に解釈している。

昭和49(1974)年12月号の「無線と実験」(pp.119〜126)に森川忠勇さんの製作記事が載っており、「どこの世界にもロマンを求める人たちはいるもので、今や幻の名球ともいえるWE-300Bを自らの手で再現しようという意図は高く評価したいものです。」、「ソンを覚悟で作るマニア気質には拍手をおくりたいと思います。」と書かれており、同時に発表されたシャーシ・キット(MA-300SS)を使ってアンプを試作している。記事中では、ヒアリング・テストの結果として、「HF-300BWE-300Bとの差異はどうかということですが、アイニク手もとにWEのものがなかったので比較は出来なかったので何とも申し上げられないのですが、いずれにせよHF-300Bでもそれなりの良好な結果が得られたことを申し上げます。」と書かれている。

ベース部分に黄色でプリント。造りはWEのオールドタイプをコピーしたと思われる。

トップからの眺め。トップのおむすびマイカが同じなのは当然として、トップマイカの押さえのサイドマイカも長方形であるのが気に入っている。下部マイカの上表面にロットナンバー(と思われる)が手書きで記入されている。

ベース底部。ロット番号が黄色プリントされている。

 

 

(2011/10/30)

(2022/01/30)

 

 

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