5Z3 両波整流用直熱双2極管

 

5Z3は、280/80の2倍の容量を持つ整流管として開発されました。1933(昭和8)年に2A3などと同時に売り出され、2A3プッシュプル用として高級電蓄などに用いられました。国産でも製造されました。ベースをUXからUSとしたものが5U4Gとなります。大容量の整流管としてシリコンダイオードが普及するまで非常に多く用いられました。

型 名 Ef/V If/A Epmax/V Ipmax/mA ベース
280/80/5Y3GT 5 2 350 125 UX/US
5Z3/5U4G 5 3 550 225 UX/US

「無線と実験」昭和9(1934)年10月号pp.95〜98に、(東京)狩野生氏の”店頭用としての247PUSH”との記事があり、その中で、「設計については非常に頭を悩ませました。高周波部はともかく低周波部に於てのパワー球の選択ですが、筆者は7月号にも申し上げましたように、新球としての2A3を試用したく、某商店へ参りましたら一金23円也の事に度肝を抜かれて断念の余儀なきに至りました。 もっともこれは和製ではなく、R.C.Aのものです。新球とも云う意味と為替関係からかくも高価なものとなったのではないでしょうか。尚この2A3を使用に当たっては整流球として高周波二段とプッシュプルに280は無理で、これはやはり5Z3という整流球を使用せねばなりません。2A3の価格以上の如くで、5Z3は聞かずに帰りました。国産の超45と比べてみますと型がひとまわり大きく構造も旨く出来ています。」(p.95但し、旧字は適宜新字あるいはひらがなに変更。)とあります。整流管は、やはり技術的に大変だったのでしょう。

 

マツダ KX-5Z3

ST16型のバルブ内に黒化した長い電極が収められている。管壁には八角形の囲みの中に管名がプリントされ、その下には20-2(昭和20年2月製造)とプリントされている(左の写真)。真ん中の写真には、プロペラロゴ(サイクルマーク)が見える。

トップからの眺め。サイドマイカ付き円形トップマイカ。マイカの材質も大分落ちてきた。フィラメント吊りはフック型。

 

こちらは戦後製で、基本的な構造は全く同じだが、大分造りが良くなった。

トップからの眺めも全く同様。

 

(2020/04/26)

(2020/07/26)

 

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