WD-12 万能型直熱3極管
WD-12は、乾電池でも使用可能な様にと、1921年にWestinghouseで開発・製造され、RCAに供給されたWD-11を、標準UVベースに装着した球として、1923年に登場しました。当時としては画期的な省電力の1.1V0.25Aのオキサイドコーティングフィラメントを持っていて、一部のラジオを蓄電池から乾電池化することに貢献しました。いくつかのマイナーメーカーでも製造されました。ものの本によると、1925年1月以降はバルブの直径が小さくなり(T8型)、ベークライトベースとなり、チップレスとなり、マグネシウムゲッターとなり、外見が全く相違する様になりました。その後、UXベースとなってWX-12と名称が変更となりました。外形の可愛さと相俟って当方の好きな球の1つとなっています。
RCA/Radiotron(Aeriotron) WD-12
大きな段ボール製の元箱。検波増幅用とある。側面に貼付された特許日の最後は、"Feb. 18, 1919"となっている。
製造は当然Westinghouse。綺麗な真鍮ベース。ガラス管が内部まで収まっているため、全体の高さが低くなっている。ベース側面には、シールが両面に貼られている。見えづらいが、ガラス管壁には、RCAのマークとWestinghouseのマークとが両面にエッチングされている。
電極は同軸円筒型。ステムにはライム(石灰)ゲッター。内部構造はWD-11と全く同じ。
見えづらいが、底面の眺め。脚ピンは標準UV。ベースは、黒色ベークライトで下部中央に突起が見える。
こちらも上と同様の構造。真鍮ベースの側面に黒色でプリントされている。ライムゲッターも同様。
底面が黒色ベークライトからセラミックとなった。
こちらは後期型の元箱。厚いボール紙製。大きさは大分小さくなった。
バルブの直径が小さくなり(T10型→T8型)、ベークライトベースとなった。マグネシウムゲッターとなったが、ステム部分にライムゲッターも併用している。
トップシールが無くなって、トップに代わりにRCAのマークが付いている。ベース側面に設けられた4ヶ所のリブの形が良く解る。
見えづらいが、底面周囲部左側に、RADIOTRON WD12と浮き出しがある。
Cunningham C-12
綺麗な真鍮ベース。ガラス管が内部まで収まっているが、背はノッポ。ベース側面には、黒色プリント。見えづらいが、ガラス管壁には、CunninghamのマークとGEのマークとが両面にエッチングされている。
電極は同軸円筒型で、ステムのライム(石灰)ゲッターと併せて、当然ながら内部構造は上の初期型WD-12と全く同じ。
元箱。しっかりした厚紙製。GEのマークも見える。
電極は同軸円筒型で、ステムのライム(石灰)ゲッターと併せて、当然ながら内部構造は上の球と全く同じ。足は真鍮のUVのまま、刻印のベークライトベースとなったが、バイヨネットピンは残っている。トップチップもなくなった。
トップからの眺め。
使用説明書が同封されている。
Cunningham CX-12
電極は同軸円筒型で、ステムのライム(石灰)ゲッターも同じだが、マグネシウムゲッターも併用している。足は真鍮のUXとなった。刻印のベークライトベース。バイヨネットピン付き。
トップからの眺め。
Victoron WD-12
Victoronとはマイナーブランドで良く解りません。何の表示もないが、正真正銘の元箱。
ガラスは旧型(T10)でトップシール。ベースはツルツルの黒色ベークライト。ベース側面に、Victoron WD-12 FIL.VOLTs 1.1 FIL.AMPs .25 PLATE-Vs 20-120と白色でプリントされている。ガラス管壁のラベルが綺麗。
内部構造は全く同じ。ゲッターはマグネシウム。ガラスとベースとの間には、緩衝と接着を兼ねて(と思います)白い封止材が設けられている。
他の球についても、順次追加してゆきます。
(2012/02/26)
(2016/08/28)
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