VT-52 変調(電力増幅)用直熱3極管

 VT-52は、Raytheonが軍からの要請によって(恐らく210を基にして)開発した球です。航空機用の無線機に用いられ、空中では7Vで動作させ、駐機中には6.3Vで動作させた様です。後になってWEが、さらには他社も製造していますが、これはフィラメントがVT-25(オキサイドコーティング)/VT-25Aと同じ7V1.18Aの球です。VT-25(オキサイドコーティング)とは、グリッドピッチとグリッドとプレートとの間隔が異なる様です。45 Specialともいわれており、45のフィラメント6.3V1Aの球ともいわれていますが、45とは厳密には規格の違う球です。(但し、細かいことを言わなければ、フィラメント6.3V1Aの45として充分使えます。)外囲器は初期はナス型でしたがその後ST16となり、電極も45Aとも異なり45とは比較にならないほど大きく、過負荷に耐えられる様にしています。元々は、VT-25(オキサイドコーティング)とフィラメントを直列として接続して軍用送信機の変調等に用いられた様ですが、アマチュアによってオーディオアンプに使われて有名になりました。その際にも、フィラメント電圧が6.3Vか7V(7.0Vであって7.5Vではない)かで論争がありました。

 以上、Tさんのご教示(http://blogs.yahoo.co.jp/fareastern_electric)により修正しました。

 

 

CBY-38142 (=Raytheon VT-52)

初期のナス型。中でもプレートに"Raytheon"とエンボスされた初期型。着炭ボックスプレート、セラミックサポートの4ピラーで、私の好きな球の1つ。音も良い。

ベース部のアップ。"US NAVY" "TYPE" "CBY-38142"と3行に亘って刻印されている。

上部からの眺め。

 

 

Raytheon VT-52

初期のナス型。リブ付きプレートの後期型。"VT-52"とだけ刻印されている。着炭ボックスプレート、セラミックサポートの4ピラーは同様。

上部からの眺め。

 

 

Raytheon VT-52

ST16の後期型。リブ付きボックスプレート、セラミックサポートの4ピラーは同じ構造のまま、ST化された。"Raytheon""VT-52"と刻印されている。

上部からの眺め。ST化に伴い、電極固定用にトップマイカとサイドマイカが設けられた。

 

 

Western Electric VT-52

"Date 6/30/39"とある。

上のRaytheonを引き継いで製造された球。有名な、WEの刻印タイプ。下側マイカが無く、ステムから立ち上がった各ピラーが、そのまま真っ直ぐ電極を支持している。見て惚れ惚れする球の1つ。

フィラメントは、WE得意の3本吊り。おむすびマイカ。マグネシウムゲッター膜の裏側が青っぽいのは純正WEの証。使用中、管壁が蛍光で青紫に光る。見て良し、音も良い球。上のRaytheonが男性的なガッシリとした造りとすれば、こちらWEは女性的な感じ。

 

 

RaytheonWEの後では、だいぶ見劣りしてしまうが、一応所持している他のVT-52を紹介する。

 

 

RCA VT-52

 

 

Hytron JAN-38142(=2C45=VT-52)

 

 

(2006/07/22)

(2015/01/25)

(2023/03/26)

 

            規格表 アメリカ製オーディオ球 52ナンバー 総目録 真空管トップ トップ