ナショナル PS-54

 仕 様  

ブランド ナショナル
メーカー 松下電器産業(株)
形 式 セミトランスレスGT5球スーパー
寸 法 横幅(W)30cm×高さ(H)18.5cm×奥行き(D)16(つまみ含めて18)cm
重 量 3.1kg
使用真空管 12SA7-GT12SK7-GT12SQ7-GT35L6-GT35Z5-GT
受信周波数 BCバンド535〜1605KC
中間周波数 455KC
感 度  
電気的出力  
電 源 50〜60c/s 100V
消費電力  
スピーカー 5吋パーマネントダイナミックスピーカー
定 価 11,950円
発売時期 昭和28(1953)年
製造時期 昭和29(1954)年
備 考 小川卸商報 昭和28年10月に出ている。ラジオ工房HPより。

正面写真。こちらはまだ未修理品。割と珍しいGT管使用のメーカー製ラジオでデザインも気に入っている。ケースはプラスチックではなくベークライト製。ダイヤルパネルはプラスチック製。つまみはオリジナルではないが、こちらの方が似合っている様にも見える。

背面。裏蓋も付いている。裏蓋は厚紙製。

ケース内左側面に回路図張り付け。

修理されたのか、内部は奇麗。ヒーターは直列でトランスレスとなっているが、B電圧用にAC100Vから単巻きコイルで昇圧すると共にPL用巻き線を設けたトランスを使っているので完全なトランスレスではなく、セミトランスレスとなる。PS-53型との違いは、リード線アンテナではなくフェライトバーアンテナが使われている点。

それから、修理してから改めて気づいた相違点は、PS-53では、整流回路が60μF+1kΩ+20μFだったのが、PS-54では、60μFが2つに分割され、30μF+100Ω+30μF+1kΩ+20μFとなった点と、整流回路に付随して、ブロックケミコンが外見(アルミ剥き出しケースと紙被覆アルミケース)及び内容(60μF+20μFだったのが、30μF+30μF+20μFとなった)で相違する点と、12SQ7GTのプレートとアース間にRC直列回路が付加された点と、出力トランスのバイパスコンデンサーの容量が若干相違する点と、真空管ソケットを固定するリベットの外見が異なる点である。

このラジオに用いられている球のヒーター電圧を計算すると、12SA7GT12SK7GT12SQ7GTで12.6×3=37.8V、35L6GTで35V、35Z5GTで35Vで、合計107.8VでAC100Vでは7.8V不足する(実際には、それでも十分に働くと思われるが)ところ、35Z5GTの中間タップに注目して、中間タップまでの3-7間のフィラメントを用いれば、電圧を27Vとして計算すると、ヒーター全て直列で99.8V(27.5Vとすると100.3V)となり、丁度AC100Vと合う様になる。配線もその様になっており、松下のオリジナルの35Z5GT/Mは、何と3-7ピン間にのみフィラメントが張られている(2-3ピン間にはフィラメントが存在しない。)。また、松下のオリジナルの12SQ7GT/Mは、二極管部が1個しか封入されていない。

 

回路図。

 

回路図と使用されている部品から見て、設計・開発は、古い順に、PS-53PS-71PS-54の順で、PS-53PS-54の間隔は半年程度(?)空いているのではと推測している。

 

 

使用されている真空管を並べてみた。

松下のオリジナル球。検波増幅用複合管の12SQ7GT/M及び35Z5GT/Mについて、球の方にアップした。

こちらは、勢ぞろいしたマツダの元箱入り。

各社の12SA7GT。左から、松下 12SA7GT/M 12SA7GT カーボンスート、 12SA7GT アクアダック、マツダ 12SA7GTNEC 6SA7GT12SA7GTを所持していないので代わりに)。

各社の12SK7GT。左から、松下 12SK7GT/M12SK7GTマツダ 12SK7GTNEC 12SJ7GT12SK7GTを所持していないので代わりに。それでも(当地では)全く同様に使用出来る。)。

各社の12SQ7GT。左から、松下 12SQ7GT/M 金プリント、12SQ7GT/M 銀プリント、 12SQ7GTマツダ 12SQ7GT ダイオード下側タイプ、東芝 12SQ7GT ダイオード上側タイプ、NEC 12SQ7GTテン 12SQ7GTSylvania 12SQ7GT

各社の35L6GT。左から、松下 35L6GT/M 35L6GTマツダ 35L6GTマツダ東芝箱) 35L6GTNEC 35L6GT

各社の35Z5GT。左から、松下 35Z5GT/M ベース赤ペイント、 35Z5GT/M 35Z5GT 初期型、 35Z5GT 中期型、 35Z5GT 後期型、マツダ 35Z5GTNEC 35Z5GT

 

 

その後、ラジオを修理した。

修理前のシャーシ内の様子。2度修理されている様だ。1回目に大々的にコンデンサーを交換した後に、2回目に35L6GTのカップリングコンデンサーがフィルムコンデンサーに交換されている。ブロックケミコンは、アルミ外装にさらに紙ケースを巻いており、30μF×2と20μFに変更となった。

修理後のシャーシ内の様子。修理されたコンデンサーはまだ使えそうだったので、リード線が長いのが気になったものの、そのままとして、カップリングコンデンサーだけを0.01μF1200VというSpragueオレンジ・ドロップ 715Pに交換した。また、ブロックケミコンは、内部を取り出して、同じ容量(30μF×2と20μF)の未使用品と交換した。

修理が完了したラジオの背面からの眺め。

裏蓋を取り付けた状態。

正面写真。各局を快調に受信して、良い音で鳴っている。

PS-54PS-71を並べてみた。

 

 

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