ナショナル PS-53
仕 様
ブランド | ナショナル |
メーカー | 松下電器産業(株) |
形 式 | セミトランスレスGT5球スーパー |
寸 法 | 横幅(W)28cm×高さ(H)18cm×奥行き(D)15.5(つまみ含めて18)cm |
重 量 | 2.7kg |
使用真空管 | 12SA7-GT,12SK7-GT,12SQ7-GT,35L6-GT,35Z5-GT |
受信周波数 | BCバンド535〜1605KC |
中間周波数 | 455KC |
感 度 | |
電気的出力 | |
電 源 | 50〜60c/s 100V |
消費電力 | |
スピーカー | 5吋パーマネントダイナミックスピーカー |
定 価 | |
発売時期 | 昭和28(1953)年 |
製造時期 | 昭和28(1953)年 |
備 考 |
正面写真。こちらはまだ未修理品。割と珍しいGT管使用のメーカー製ラジオでデザインも気に入っている。ケースはプラスチックではなくベークライト製。ダイヤル板は欠品しているがガラス製。
背面。裏蓋も付いている。裏蓋は厚紙製。
内部は比較的奇麗。ヒーターは直列でトランスレスとなっているが、B電圧用にAC100Vから単巻きコイルで125Vまで昇圧すると共にPL用巻き線を設けたトランスを使っているので完全なトランスレスではなく、セミトランスレスとなる。PS-54型との違いは、フェライトバーアンテナではなくリード線アンテナとなっている点。
それから、修理してから改めて気づいた相違点は、PS-53では、整流回路が60μF+1kΩ+20μFだったのが、PS-54では、60μFが2つに分割され、整流回路が60μF+1kΩ+20μFだったのが、30μF+100Ω+30μF+1kΩ+20μFとなった点と、整流回路に付随して、ブロックケミコンが外見(アルミ剥き出しケースと紙被覆アルミケース)及び内容(60μF+20μFだったのが、30μF+30μF+20μFとなった)で相違する点と、12SQ7GTのプレートとアース間にRC直列回路が付加された点と、出力トランスのバイパスコンデンサーの容量が若干相違する点と、真空管ソケットを固定するリベットの外見が異なる点である。
このラジオに用いられている球のヒーター電圧を計算すると、12SA7GTと12SK7GTと12SQ7GTで12.6×3=37.8V、35L6GTで35V、35Z5GTで35Vで、合計107.8VでAC100Vでは7.8V不足するところ(実際には、それでも十分に働くと思われるが)、35Z5GTの中間タップに注目して、中間タップまでの3-7間のフィラメントを用いれば、電圧を27Vとして計算すると、ヒーター全て直列で99.8V(27.5Vとすると100.3V)となり、丁度AC100Vと合う様になる。配線もその様になっており、松下のオリジナルの35Z5GT/Mは何と3-7ピン間にのみフィラメントが張られている(2-3ピン間にはフィラメントが存在しない。)。
回路図。
回路図と使用されている部品から見て、設計・開発は、古い順に、PS-53、PS-71、PS-54の順で、PS-53とPS-54の間隔は半年程度(?)空いているのではと推測している。
使用されている真空管を並べてみた。
松下のオリジナル球。検波増幅用複合管の12SQ7GT/M及び35Z5GT/Mについて、球の方にアップした。
こちらは、勢ぞろいしたマツダの元箱入り。
各社の12SA7GT。左から、松下 12SA7GT/M、同 12SA7GT カーボンスート、同 12SA7GT アクアダック、マツダ 12SA7GT、NEC 6SA7GT (12SA7GTを所持していないので代わりに)。
各社の12SK7GT。左から、松下 12SK7GT/M、同 12SK7GT、マツダ 12SK7GT、NEC 12SJ7GT (12SK7GTを所持していないので代わりに。それでも(当地では)全く同様に使用出来る。)。
各社の12SQ7GT。左から、松下 12SQ7GT/M 金プリント、同 12SQ7GT/M 銀プリント、同 12SQ7GT、マツダ 12SQ7GT ダイオード下側タイプ、東芝 12SQ7GT ダイオード上側タイプ、NEC 12SQ7GT、テン 12SQ7GT、 Sylvania 12SQ7GT。
各社の35L6GT。左から、松下 35L6GT/M、同 35L6GT、マツダ 35L6GT、マツダ(東芝箱) 35L6GT、NEC 35L6GT。
各社の35Z5GT。左から、松下 35Z5GT/M ベース赤ペイント、同 35Z5GT/M、同 35Z5GT 初期型、同 35Z5GT 中期型、同 35Z5GT 後期型、マツダ 35Z5GT、NEC 35Z5GT 。
その後、ラジオを修理した。
修理前のシャーシ内の様子。1度修理されている様だ。ボリウムが交換されると共に、35L6GTのカップリングコンデンサーがエルナーのオイルコンデンサーに交換されている。コンデンサーのリード線もあちこちで切断されている。また、ダイヤルも途中で引っかかると思ったら、ダイヤル糸が誤って掛け直されていた(やれやれ…)。ブロックケミコンは、アルミケースで60μFと20μF。
修理後のシャーシ内の様子。全ての不良コンデンサーを交換した。カップリングコンデンサーには0.01μF1200VというSpragueのオレンジ・ドロップ 715Pを使ってみた。また、ブロックケミコンは、内部を取り出して、60μFと20μFだったのを44μFと44μFの未使用品と入れ替えた。35Z5GTの入力容量は最大規格が40μFとなっており、若干オーバーするが大丈夫だろう。
取り外した不良コンデンサー。
修理が完了したラジオの背面からの眺め。
裏蓋を取り付けた状態。
正面写真。
通電時のダイヤル部のアップ。当地は感度が良いため、アンテナ線を伸ばさない(上の写真のとおり丸めた)状態で在京各局を快調に受信して、良い音で鳴っている。
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