4B85 送信用傍熱ビーム4極管
4B85は東芝が開発した送信用の真空管で、5kW、10kWのTV放送局の映像変調管などとして用いられました。当時の国産送信管、特に東芝製の球は造りが見事で気に入っています。オーディオアンプに用いても4P55に飽き足らない人に人気があるようです。当方もいつかはこれでアンプを作ってみたいものです。なお、使用に際しては、ヒーターの予熱時間が60秒つまり1分以上必要です。
マツダ 4B85
全長175mm、最大部直径93mm、重量370gとあります。堂々たる外形と上下にセラミックサポートで支持されたプレート等の電極。プレートは、6枚のコの字状の板をリベットで留めて放熱フィンを設け、さらに表面にジルコニウムを塗ったものを前後に2枚設けている。側面はオープンになっている。内部には、並列に3本の太いヒーターが封入されている。管壁には、丸にマツダのマークと八角形内に管名が銀色でプリントされている。反対側には、1本毎のロット番号が銀色でプリントされており、上部にはNHKのマークも付され、丸に検マークと共に、30.12(昭和30年12月)ともプリントされている。ベースはクロムメッキの旧型。
上部からの眺め。上下のセラミックサポートでしっかりと保持されている。各ヒーターの両側にスクリーングリッドの支柱上部に設けられた放熱板が見える。トッププレート端子への引き出しは、プレート固定用支柱から金属リボンを介して幅広フランジを有する引き出し線に引き出されている。分厚い耐熱ガラスに収められておりどっしりとした感じ。ヒーターは6.3V4.8(あるいは4.5)Aの大飯喰らい。見るだけで惚れ惚れとしてしまいます。
東芝 4B85 特殊
元箱。ちゃんと「特殊」とスタンプされている。何が特殊なのかは不明。
こちらは東芝となってからのもの。管壁の四角囲み付きのToshibaのマークと管名と1本毎のロット番号が赤字でプリントされている以外は、上のマツダと同様。赤字で管名・ブランドと共に(特殊)とプリントされている。側面にはNHKのマークと共に38(昭和38年受け入れ)とプリントされ、反対側には38.8(昭和38年8月)ともプリントされている。ベースはクロムメッキの旧型。
上部からの眺め。造りは基本的に上と同じだが、トッププレート端子への引き出しが、プレート固定用支柱から直接引き出し線に溶接され、溶接部を下から覆うように保護・補強用の金属部材が設けられた形となった。
東芝 4B85
元箱。
こちらは(特殊)がない。管壁の四角囲み付きのToshibaのマークと管名と1本毎のロット番号が赤字でプリントされている以外は、上の東芝(特殊)と同様。
上部からの眺めも全く同じ。
こちらはアルミベースの新型。管壁には、Toshibaのマークと管名が赤字でプリントされている。当然ながら造りは上と同じ。
上部からの眺め。こちらも造りは基本的に上と同じだが、トッププレート端子への引き出しが、溶接部を下から覆う保護・補強用の金属部材がなくなった形となった。
TEN 4B85
管壁に、TENのマークと管名が赤字でプリントされていて、裏側には"FUJITSU LIMITED"と共に"NHK 44.05"ともプリントされています。しかし、どうみても上の東芝製と同じで、どうも富士通テン(TEN)がNHKからの注文に対して、東芝から入手して間に合わせて、自社マークを付してから、昭和44年5月にNHKに納入したものの様です。
上部からの眺めも全く同じ。
4P55(56)と4B85とWE701Aとの大きさ比較をしてみました。
左から、6V6GT 6AR6 4P55(56) 4B85 WE701A です。畳の目の大きさからも球の大きさが判ります。4P55(56)や4B85は6V6GTで、WE701Aは6AR6で、各々ドライブしたいと思うのは私だけでしょうか。
(2012/06/24)
(2013/01/20)
(2014/02/23)
(2017/02/26)
(2017/03/26)
規格表 アメリカ製オーディオ球 85ナンバー 総目録 真空管トップ トップ