UZ-2A5B 電力増幅用傍熱5極管(日本独自球・ドン)

UZ-2A5Bは、ドンが開発・発売したラヂオ用の出力管です。当時、ラヂオ用の5極出力管として我が国でポピュラーだったUY-47Bが直熱管だったため、その傍熱版を目指して開発されました。41のヒーター2.5V版とでも言えましょうか。丁度2A5の小型化版とも言えるのがその命名の由来でしょう。

UY-47 (傍熱化) UZ-2A5 (2.5V化) 42
           
(小型化)       (小型化)       (小型化)
           
UY-47B (傍熱化) UZ-2A5B (2.5V化) 41

その規格は、当然ながら、UY-47Bと似通っており、また、41とも似通っています。戦後の代表的なラジオ用の出力管である6Z-P1も併せてEp180Vで比較すると以下のとおりです。

  Eh/V Ih/A Ph/W Ep/V Ip/mA Esg/V Isg/mA Eg/V Gm/μS μ Rk/Ω Ri/kΩ RL/kΩ Pp/W Po/W Base
UZ-2A5B 2.5 1 2.5 180 22 180 5 -20 1700 85 (740) 50 7   1.5 UZ
UY-47B 2.5 0.5 1.25 180 20 180 4.8 -19 2000 90 770 45 6   1.4 UY
41 6.3 0.4 2.5 180 18.5 180 3 -13.5 1850 150 630 81 9   1.5 UZ
6Z-P1 6.3 0.35 2.2 180 14 180 2.5 -7 1750 230 400 130 12   1 UZ

製造するメーカーがドンだけだったこともあり、「無線と実験」誌に記事が掲載されたりしましたが、(ヒーター電力がUY-47Bの2倍となることも敬遠された理由ではと推察していますが、)結局沢山使われることもなく、マイナーな存在のまま消えていった運命にある球ですが、当方にとっては、ロゼッタストーンとして大変貴重な存在の球です。

故藤室衛さんが「真空管半代記」で「一般用としては4747Bのように手ごろな小型管の出現が期待され、2A5の下位に[UZ-2A5B]をドン真空管製作所が出したのは日本の国内向けとして良い線を狙ったものと申せましょう。」(p.167)と書かれていますが、流石に正しく評価しておられて、球も開発者の方も喜んでいると思いいます。

 

ドン UZ-2A5B

元箱。

刻印ベースで管壁はカーボンスート。プレートはリブ付きの円形。

トップマイカにはサイドマイカも設けられており、丁寧に造られている。グリッド冷却フィン付き。

同封されていた規格表。

 

(2015/05/31)

 

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