211系 送信用直熱3極管
211は、202よりも大出力が必要な場合の、発振や変調用の送信管として開発された。フィラメントは、ほぼ10V3.25Aで、オキサイドコーティングありトリタンありで楽しめる。プレートもメタルからグラファイトまでバリエーションがある。オーディオアンプに使っても直線性が良いため素直な音が楽しめる。小型の送信機、無線機、各種工業用として手頃な出力が得られるため、世界各国で製造され、我が国でも戦前から戦後に至るまで各社で製造された。
RCA UV-211
トップシールの初期型。フィラメントはトリタン。放熱フィンを溶接したメタル(モリブデン?)プレート。ベースは真鍮製で、側面に、"RADIOTRON MODEL UV-211 50WATT'S"などとプリントされている。見にくいが、向かって左側に○にGEのマークが、右側に○にRCAのマークもプリントされている。製造はGE。
底からの眺め。底面はタイト製。足ピンは真鍮。
トップからの眺め。プレートの支柱から半円形のロッドを介して左右水平に渡したロッドにガラスチューブを被せて、そこに、フィラメント吊り用のコイルスプリングとグリッドの支柱を固定している。
RCA 211
プレートがグラファイト製になり、ベースがアルミ製となり、近代的な構造となる。それでも1930年代の製造で、このタイプとしては初期型と思われる。ガラスも厚くなった印象。ガラス管壁に八角形の囲みの中に"211"と、ベース側面に"Radiotron"とプリントされている。
底からの眺め。
トップからの眺め。トップ及びボトムのセラミックサポートの形に注目。色も黒っぽい粒々が混じっている。
GE CG-211
グラファイトプレート、アルミベースタイプで、上の物よりも後期型。良く見かける普通の形。ベースにJAN CG-211の下にVT-4-Cともプリントされている。軍用。
底からの眺め。
トップからの眺め。トップ及びボトムのセラミックサポートも普通の十字型。
GE GL-211
グラファイトプレート、アルミベースタイプで、上の物と同じ造り。名前だけ変えている。
底からの眺め。
トップからの眺め。
GE VT-4C
元箱2個。1942-5-9と1942-6-22の日付が印刷されている。
内部の収容物。
グラファイトプレート、アルミベースタイプで、上の2つと同じ造り。名前だけ変えている。ガラス管壁にGEのマークと管名をプリント。軍用。
底からの眺め。
トップからの眺め。
別の球。構造は上の球と全く同様。
底からの眺めも全く同様。
トップからの眺めも全く同様。
WE 211D (VT-4B)
トップシール型。酸化物塗布型フィラメント。メタルプレート。プレート支持金具をステムに巻き付ける送信管の構造。ガラス管壁に、"WESTERN ELECTRIC"と"211-D"と米国特許登録日などがエッチングされている。メタルベースにも"U.S.ARMY" "VT-4-B" "SIGNAL CORP."などとプリントされている。
底からの眺め。底面はベークライト板。足ピンは真鍮。
STC 4211E
米WE社と技術提携していた英国STC社の球。同様に、トップシール、酸化物塗布型フィラメント、メタルプレートと構造は当然ながらWE211Dとそっくり。ガラス管壁に、"STANDARD TELEPHONE AND CABLES LIMITED"と"4211E"と英国特許番号などがエッチングされている。Eタイプは、ステムからのグリッドとプレートの引き出し線が発振防止のためコイル状になっている。
底からの眺め。
東芝 UV-211A
元箱。
旧型。黒っぽいメタルプレート。ベースはアルミベース。非常に丁寧な造りは流石に東芝だけのことはある。見た目も音も良くて気に入っている。
底からの眺め。綺麗に丁寧に造られている。
トップマイカには製造識別記号が記されている。
ステム廻りも丁寧な造り。
トップからの眺め。フィラメント吊り用のコイルスプリングとセラミック。コイルスプリング受け部にも円形のセラミックを設けている。サイドマイカは4枚。造りは非常に丁寧。
ステム部のアップ。ゲッター台はリングのダブルだが、ステム部分にゲッター膜が掛からない様に、円形のマイカ板で保護している。
ガラス部分の外観。個人的には角プレートであることとプレートの色が気に入っている。見ていて惚れ惚れとしてしまい飽きない。
別の球。構造は上の球と全く同様。
底からの眺め。上の球と全く同様。
トップマイカに製造識別記号が記されているのも同様。
プレート部分も同様。
ステム部分も同様。
ステム部分の保護マイカ板も同様。
新型。東芝独特のジルコニウム(Zr)が表面に塗布された灰色のメタルプレートとなり、ゲッターも無くなった。ベースもクロムメッキのメタルベースとなった。また、電極の支持方法がステムの廻りにバンドを捲いてビスとナットで固定する方式に変更になったことに伴い、トップマイカによる電極支持構造が簡略化された。管壁とセラミックサポートに1本毎にロット番号が打たれている。クロムメッキのメタルベースに縦にクラックが入るのが難点。
トップからの眺め。トップマイカが省略され、トップの電極支持構造が大分簡略化された。フィラメント吊り用のコイルスプリングとセラミックの構造は変更なし。
底からの眺め。綺麗に丁寧に造られている。
NEC UV-211A
元箱。1本毎に製造番号が書かれている。
黒っぽい光沢のあるメタルプレート。管壁にNECとUV-211Aと製造番号を白プリント。アルミベースにもNECの検査票のシールを貼付。
トップからの眺め。サイドマイカは4枚。造りは丁寧でやはりWEを想像してしまう。
底からの眺め。昭和44(1969)年8月18日に検査合格とある。
Telefunken RS237
底アルミベースでメタルプレート(一部ではメッシュプレートとも言われているがパンチプレートが正しい。)の後期型。管壁にはTelefunkenとRS237とロット番号が金文字でプリントされている。ナチスドイツ時代の技術の粋が集まっている様にみえる。米英に対して細身なのがまた良い。
トップからの眺め。プレートは、プレスにより細かい凸凹を多数形成し表面積を稼いだタンタル(?)板を、6ピースを併せてX字型に溶接することで強度と放熱を確保している。
底からの眺め。底面はセラミック。足ピンは真鍮。適合するソケットは、正式にはRL12P35などと同じ形式だが、戦前のG3変調送信管の技術導入の関係で我が国の3P50など用のソケットがピタリと適合する。まあ細かいことを言わなければ、米国系の211用の大型UVソケットがそのまま使えるので、その方が各種の球を差し替えられて楽しい。
(2011/02/27)
(2011/04/24)
(2020/12/27)
(2022/08/28)
(2022/09/25)
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