KX-112C 半波整流用直熱2極管

 

 エリミネーターラヂオの整流管として用いられていたKX-112Bよりも大きな(そしてKX-280よりは小さな)電流が取り出せる球として登場しました。フィラメント電流を倍増して、最大出力電流も50mAと2倍弱取り出せる様になっています。ST管時代になってもKX-12Cとして製造された様ですが所持していません。その後、KX-12Fが登場して、あまり使われることなく消えてゆきました。

 「無線と実験」昭和7(1932)年4月号の「ラヂオ日誌−新製品其他」(p.135)では、「エレバムKX112C エレバム 235247等を逸早く我がラヂオ界に提供して、大いに気を吐いた宮田製作所では、我国の4,5球程度のセットに適合する、強力なる整流球として、280よりも経済的なKX112Cを市場に出した。最大整流電圧350ボルト、最大電流50ミリアンペアである。」とあります。この記事によれば、宮田製作所(エレバム)が、オリジナルで開発・製造・販売したことになります。また、「無線と実験」昭和7(1932)年6月号の「新製品紹介」(p.388)では、「新眞空管続々生まる−エレバムが新型強力整流管112Cを製作販売したことは既報の通りであるが、其後、各製作所でも112Cを作り、最近ではサイモトロンで有名な東京電気までが眞似をして、280Bといふのを作った。280といふから両波整流と思いきや、片波整流の強力球即ち112Cの眞似だとは、さてさて大會社の面目とはつらいもの。」ともあります。これだと、KX280Bは、KX112Cの真似ということになります。

 KX112Cの使用例としては、例えば、「無線と実験」昭和7(1932)年5月号のHT生氏による”音質の良い家庭向 四球受信機の試作”の記事に「V4=KX112C」(p.198)が、また、「無線と実験」昭和7(1932)年7月号のトクタロー氏による”ペントードミニワット・セット”の記事にも「B捲線は220ボルトに致しました。KX112Bに対しては40ボルトのオヴァーロードになりますが、自分はもしKX112BがこのためノックアウトされたらエレバムKX112Cに代へるつもりで試用していますが彼氏今迄の所なかなか余裕釈然たる?レクチファイングをしています。少し乱暴な取扱ひですが。」(p.531)ともあり、それなりに使われています。

型 名 Ef/V If/A Epmax/V Ipmax/mA
KX-112B/12B 5 0.5 180 30
KX-12F 5 0.5 300 40
KX-112C/12C 5 1.05 250 50
KX-280B 5 1.25 300 70

 

HW KX-112C

刻印ベース。ガラスビード支持。リブ付きの角型プレートの真ん中にWのエンボス加工がされている。フィラメントは3点吊り。

上部からの眺め。

 

 

他にも見つけ次第追加します。

 

 

(2019/12/22)

(2020/01/26)

 

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