米国系 メタル管

 英国のキャトキン管にも影響を受けて、RCAから、1935(昭和10)年秋に、ラジオ用としてのラインアップを揃えて、メタル管(全金属管)が登場しました。外囲器を、それまで使用されていたガラス製から金属(鉄)製とした球ですが、斬新な設計で、ベースもオクタルベースで統一され、物理的ショックに強く、電気的シールドも完璧ということで、当時センセーショナルなものでした。ライセンス供与され、SylvaniaRaytheonでも製造されましたが、製造設備が全く新しいものとなるため、弱小メーカーでは、なかなか導入できなかった様です。

 我が国でもライセンスを受けて、東京電気(マツダ)や住友通信で製造されましたが、専ら軍用に用いられました。製造歩留まりが悪かったとあちこちで書かれていますが、具体的にどの程度かは不明です。ひょっとすると、5割を切っていたのではとも思われます。

オリジナルナイン

 一番初めに登場した9種類は、オリジナルナインと呼ばれています。周波数変換用7極管 6A86L7、高周波増幅用5極管 6J76K7、電圧増幅用3極管 6C56F5、検波用双2極管 6H6、電力増幅用5極管 6F6、そして整流用傍熱双2極管 5Z4です。初期の6F65Z4とは、取り扱う電力が大きく、そのため発熱量が大きい事に起因するトラブルに悩まされ、信頼性に問題があった様です。

 1935年の発売当時は、RCA/Cunninghamの時代でしたから、少なくともRCA/Cunninghamの刻印が打ってあるものがオリジナルということで、さらにいろいろとオリジナルを特定するための特徴がある様です。

 

RCA/Cunningham 6A8

 シェルとベーススカートとの溶接構造では、シェルの端面が見える。

 トップグリッドの絶縁ウェーファーは茶色。

 

RCA/Cunningham 6L7

 

RCA/Cunningham 6J7

 

RCA/Cunningham 6K7

 

RCA/Cunningham 6H6

 可愛い元箱で、データシートも同封されている。

フラットトップ。3枚目の写真のシェルの側面中央やや左下側にゲッターバンプ(膨らみ)が見える。

 

RCA/Cunningham 6C5

 シェルの上部が括れているのが、魅力的です。

 

RCA/Cunningham 6F5

 

RCA/Cunningham 6F6

 ドームトップ。

 

RCA/Cunningham 5Z4

 感電防止の為、背の高いパンチングメタルで覆われている。見えにくいが、パンチングの穴を通して、向こう側が透けて見える。中にペンシルチューブと呼ばれるストローの様な管が入っていて、上下を封じた状態で2本入れられている。これがプレートで、この球だけキャトキン管構造となっている。このタイプは、製造時期が短く、直ぐに通常タイプのメタル管構造に移行したため、比較的珍しい。使用中にプレートの中に空気が入ったりしてダメになった球が多かったと思われ、活きているのはさらに珍しい。

 

RCA/Cunningham 6D5

 オリジナルナインの蔭に隠れて、もう1つ存在していた幻の球、電力増幅用傍熱3極管6D5です。最初の発表時には存在していましたが、発売時にはリストから抜け落ちてしまい、市販されることはありませんでした。外観は6F6そっくりですが、フラットトップとなっています。私の宝物の1本です。

 

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 順次追加してゆきます。

 

(2008/11/29)

(2014/04/27)

 

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