WE104D 電力増幅用直熱3極管
WE104Dは、電信電話リピーターの電力増幅用としてWestern Electricで開発された。最初期にはテニスボールでメタルベースの時代から製造されていた。その後ベークベースとなり、ST型となったまでも息長く製造された。外見といい規格といいWE101Dの親分の様な球だが、出てくる音は次元が違う。WEの直熱3極管中で最も好きな音といっても過言ではない。テニスボール球とST管とでは外見も電極構造も同一管とは思えない程似ても似つかない印象だが、音的にはどちらも他の球とは一線を画しているのは天晴れ。各国で同型管や類似管が製造され、技術導入していた我が国のNECでも製造された。
WE104D
テニスボール型の中でも後期型のベークライトベースタイプ。管名とパテントの年月日が管壁にエッチングされている。ニッケル製のプレートは典型的な板極型。1本のガラス棒で保持している。足ピンは標準UV型。ピンの先端に金チップが付いている。
フィラメントは捻りなしリボンのM型。グリッドはラダー型。ゲッター膜は頂部に向かって飛ばされている。
こちらは、管名がベースに刻印されたタイプ。上のものより少し後期型。あとは同じ構造。
こちらはSTになってからのタイプ。ST14型でWE101Dと全く外見的には瓜二つ。見かけで異なるのはグリッドピッチが荒いことくらい。
STとしては初期のリング状のトップマーク。WE独特の3つのサイドマイカとおむすび型トップマイカ。フィラメントは当然ながら3本吊り。
こちらも同じSTだがトップには"104D"と型番のみがスタンプされている。
こちらは、トップにはなにもスタンプなし。途中で消えてしまったのかも知れないが。
NEC 104D
こちらは、NECでもSTになってからのタイプ。ST14型でこちらも101Dと全く外見的には瓜二つ。見かけで異なるのはグリッドピッチが荒いことくらい。管壁には、Nippon Electric とNECのマークと管名と電電公社のマークと製造年月の1951-1がプリントされている。
トップからの眺め。円形のトップマイカとサイドマイカと2本吊りのフィラメントが見える。
NEC 104F
104Fは104Dのフィラメントを1.0Aから0.5Aに半減したタイプ。こちらは、NECでもSTになってからのタイプ。ST14型でこちらも101Fと全く外見的には瓜二つ。見かけで異なるのはグリッドピッチが荒いことくらい。管壁には、Nippon Electric とNECのマークと管名と通信用のマークと製造年月の1955-8がプリントされている。管壁のガラスとベースとの境界部には緑色の防湿ペイントが施されている。
トップからの眺め。円形のトップマイカとサイドマイカと2本吊りのフィラメントが見える。構造的には、上のNEC 104Dと瓜二つだが、フィラメントが細いので区別できる。
(2010/03/28)
(2025/07/27)
規格表 アメリカ製オーディオ球 04ナンバー トップシールチューブ WE球 総目録 真空管トップ トップ