ULTRA U220 検波増幅用直熱3極管
U220は、1920年代にドイツのニッケル博士(Dr. Gerh. Nickel )が立ち上げた"Radio-Rohren-Laboratorium(RRL)"がラヂオ用に開発・製造した真空管で、ULTRAブランドで発売していた。これは日本向けに輸出された物で、英語表記とともに、中には日本語のデータシートが入れられていた。
大正15(1926)年の広告によると、「世界最高級の眞空管」、「従来の眞空管に比べて左記の進歩と長所を実証して居ります。一、非常に経済的であること 経費二〇一A型の五分ノ一 寿命長く能率減退せず 二、感度がラヂオトロン級品の四倍も鋭敏であること 遠距離の場合に特に目立ちます 三、音声が理想的に済んで正しい事 雑音又は低音の為聞き悪い様なことは絶対にありません」、「◇独逸ゲルト、ニッケル博士発明◇独逸政府専売特許◇日本政府専売特許出願済◇放送局、無線学校、無線実験社◇ラヂオと自作社其他専門家推奨◇従来の高い電圧で働かす電流消費の多い眞空管の必要は全々ないと思います、理想的に優秀且つ経済であるウルトラバルブをお勧めいたします」、「逓信省電気試験所証明附」(開成商会)とある。
この会社は、1930年には、Telefunkenに吸収されてしまうため、存在した期間は短い。
何れにしても100年近く前(我が国でいえば、大正時代!)の球が未使用元箱入りの状態で残っているのは天晴れ。
元箱。英語で表記されている。
同封されていた日本語表記のデータシート。
トップシールでメタルベース。管壁には、RRLのトレードマークとメーカー名と管名がエッチングされている。メタルベースは綺麗なクロムベース(と思われる)。足ピンは元々欧州型のUF4ピンと思われるが、日本向けに米国式のUV型に変更している。内部構造は欧州伝統の横向き円筒プレート。プラチナステム。内部が白くなっているが、使用可能かどうかは不明。外見では、同社製のU110やUL550と区別が付かない。
底面はベークライト。ちなみに、ベース下部の凹みで底板を固定している(と思われる)。
上部からの眺め。
こちらは別の球。曇りが無いので内部構造が良く見える。当然ながら造りは全く同じ。管壁に貼付されているのは、「野地ラヂオ」の試験済証だろうか。
底面の造りも全く同じ。バイヨネットピンを一部を残して切断(?)している。
(2024/07/28)
(2024/08/25)
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