RV2P800 高周波増幅用直熱5極管

 

RV2P800は、第二次世界大戦中にドイツのバッテリー型の軍用無線機などに用いられました。外形は、RV12P4000そっくりで、それよりも一廻り〜二廻り程細くなっています。RV12P4000のところでも述べましたが、戦時中に我が国で開発された万能管FM2A05Aの外側のアルミシールドケースのデザインは、むしろ本管の方がより近い印象を受けます。この球は、ソケットを含めてのシールドは完璧ですが、足ピンが独特で専用ソケットが必要な処がネックです。しかも、外径が異なるため、RV12P4000との共用もできないので最悪です。ドイツは、球の性能を最大限に引き出すことを最優先に設計し、それを徹底する国民性ですので、ドイツ製の特に軍事用真空管においては、球だけでなく、適合する専用のソケットまで集める必要があり大変です。特別な物以外は全てUSオクタル1種類に共通化するという米国の思想と正反対であることころが面白いところです。

 

RV12P4000RV2P800との大きさ比較。

太い方がRV12P4000で細い方がRV2P800

 

Telefunken RV2P800

元箱。しっかりした厚紙を使って、Telefunkenの封止用ラベルで封がなされている。

管名及び1本毎にロット番号と38/40(40年38週)がアルミのシールドケースの壁面に黒色でプリントされている。右の写真ではハーケンクロイツマークも見える。

足ピンというか電極からの端子は、エーコン管の様に底部近くの側面から放射状に突起で出ている。底部は引き出しノブとなっているが、取り外しはできずに固定されている。球をソケットから引き出す時には、このつまみを手で掴んで引っ張る。電極部及びノブ部共に茶色ベークライト。両者の固定爪は真鍮製。見えにくいが、底に水色のTelefunkenのマークの付いた印章が埋め込まれている。トップ部分はセラミック絶縁物の中心からコントロールグリッドが接続されたピンが突出している。

 

こちらの球は、電極部が黒色ベークライトとなった。ノブ部は茶色ベークライト。国防軍用。ハーケンクロイツマークも見える。

電極部とノブ部の固定爪は鉄製となった。底の水色のTelefunkenマークの印章は同じ。こちらの方が見やすいでしょうか。トップ部分の絶縁が、黒色ベークライトとなった。

 

TEKADE RV2P800

元包装。元箱ではなくなった。未開封なので内部の球の詳細は不明です。

が意を決して包装を開封してみました。71年ぶりに日の目を見たのが下の球です。

管名及び29/44(44年29週)と日付(17.7.44)が鉄製のシールドケースの壁面に黒色でプリントされている。右の写真ではハーケンクロイツマークも見える。

電極部もノブ部も同じこげ茶色のベークライト。両者の固定爪は真鍮製。底にこげ茶色のTEKADEのマークの付いた印章が埋め込まれている。トップの絶縁はベークライト製

 

Valvo RV2P800

元箱。しっかりした厚紙を使って、封止用ラベルで封がなされている。未開封なので内部の球の詳細は不明です。

 

元箱。紙の厚さが薄くなった。封止用ラベルで封がなされている。VALVO Humburg 及び 26.Sept.1944 と日付がスタンプされている。未開封なので内部の球の詳細は不明です。

 

元箱。紙の厚さが一層薄くなり、ラベルの封も無くなり、上下開封型のボックスとなった。

内部には、恐らく中古品だろうが、球がソケット(バルブホルダー)に挿さった状態で収納されていた。ソケットは後期型の鉄シールドケースタイプ。ソケットに球を差し込んだ状態では、きっちりと嵌まる。実機に組み込んだ状態ではノブ部分のみが飛び出し、本体は機器内部に収まる様に設計されている。

球がソケット(バルブホルダー)に挿さった状態を底面及び上面からみる。ソケットのトップの絶縁はベークライトを使用している。

球を取り出すと、鉄製シールドタイプだった。上部が少し錆び付いている。管名などがスタンプされている。流石のドイツも目に見えて苦しくなった。左の写真ではハーケンクロイツマークも見える。

電極部もノブ部も同じこげ茶色のベークライト。両者の固定爪は鉄製。底にこげ茶色のValvoのマークの付いた印章が埋め込まれている。トップ部分の絶縁は、セラミック。

RV2P800用のソケット。鉄ケース型。トップの絶縁はベークライト。

 

元包装。箱ではなくなった。管名と日付がスタンプされている。28 Feb. 1945とある。

管名及び06/45(45年第6週)とスタンプされている。シールドケースが鉄製となった。流石のドイツも目に見えて苦しくなった。右の写真ではハーケンクロイツマークも見える。

電極部もノブ部も同じこげ茶色のベークライト。両者の固定爪は鉄製。底のValvoのマークの印章は同じ。真ん中の写真ではハーケンクロイツマークも見える。トップの絶縁はベークライト製となった。

 

(2015/08/30)

 

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