Da 電力増幅用直熱3極管

 

 Daは、電信電話用の改良版としてSiemens&Halskeで開発されました。出力は1Wが得られますが貴重な1Wです。米国系ではWE104Dよりも大型で電信電話用に用いられた相当する球が見あたりません。規格上の対応でいえば、電信電話用ではなくトーキー用のWE205D辺りが相当すると思いますが、WE205Dよりも遙かに大型のプレートを見るにつけ、本当に1Wが最大かとも思いますが、無理はさせないで規格内で使ってやりたいと思います。前段の球としてBa辺りと組み合わせれば、色々と差し替えられ、音も良く、見た目も楽しめる面白いアンプとなると思います。なお、紛らわしいですが、DAという球も存在していて、全く別な球ですので注意が必要です。

 

Siemens&Halske Da

 この球は、私にとって憧れの球でした。BO/Baなどと同じ様な、5ピンのメタルベースにトップシールの大きな球が付いています。ステムはジュメット線で、トップがフラットでプレートとグリッドのピラーの立ち上がり部はガラスを盛り上げて補強しています。管壁に、Siemens&HalskeのマークとSiemensDaとのエッチングマークが見えます。ベースには元々は紙のリボンが巻いてあったと思われますが、残念なことに今は無くなっています。ベース下部に足ピンの方向(位置)を規制するための出っ張りが見えます。

 ステムからT字型のガラスピラーを立ち上げて、フィラメント、グリッド、プレートを保持しています。米国系のWE104DWE205Dの構造と比較してしまうと、米国系が子供の工作の様に見えてしまいます。古いSiemensの球は繊細な造りで、本当にいつ見ても惚れ惚れとするドイツのガラス細工の芸術品です。プレートは補強のリブ付きの大型ニッケルプレートが2枚対向して設けられています。将に板極管。グリッドの2組も対向して設けられているが、各線がくの字(浅いVの字)型になっている。フィラメントは2本吊りのM型酸化皮膜型。

 元箱。内部には1本毎のチェックシートが同封されている。

 保守用(?)に製造された後期型のドームタイプ(チューブラータイプ)Daです。ドームタイプでも初期型の様です。アルミベースに黄色のリボン。Siemens&HalskeのマークとSiemensDaとのマークが印刷されています。1本毎にロットナンバーが打たれています。底はセラミック。管壁に郵便局を示すホルンのマークがプリントされている。この様な後期の時代になっても本当に凝った造りです。ガラスも透明感があって内部と共に綺麗です。将にミニEdの風格が漂っています。

 トップにも、Siemens&HalskeのマークとSiemensDaのマークがエッチングされている。フィラメントは、3本吊り。プレートのピラーはステムから真っ直ぐに立ち上がっている。グリッド上部に放熱フィンが設けられている。上部はセラミックサポート、セラミックサポートとガラス管内部とはガラス繊維の織布で固定されている。動作させると、プレートの内部が空間が緑色に美しく光る(グローではない。)。STC4300Aで紫色に光ったことはあったが、他には見たことがない。

 

Valvo Da

 元箱。こちらも内部には1本毎のチェックシートが同封されている。

 Siemens&Halskeの球を見た後では大分見劣りがするが致し方ない。それでも普通の造り。管壁にValvoのマークとDaの管名とロット番号がプリントされている。それから管壁に"Post"と赤字でプリントされている。ベースは通常の黒のベークライト。フィラメントは通常の2本吊りだがプレートが下の方にあってやや撫で肩の外見と相俟って独特の印象を与える。

 

こちらは、Da揃い踏み。こんなに違っても本当に同じ規格かと思ってしまいます。これらを差し替えて、姿の違いと音の違いを実感するのも楽しいものです。

 

 

(2009/12/27)

 

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