866/HX-966/2H66/2H66A 高圧半波整流用水銀蒸気入り熱陰極2極管
866は、送信管用の高圧整流管として開発されました。初期はナス型でしたが、その後STとなり、型番も866Aとなりました。我が国では、HX-966から2H66/2H66Aとなり、戦後になっても各社で製造されました。現在でも845や211などのアンプの整流用として貴重な球です。動作すると、管内の水銀がイオン化して青白色に発光して美しいです。また、各社によってヒーターリボンの形状が異なっているのが面白いところです。
米国と我国とでの変遷を比較すると、
米国:866(ナス、トップキャップ5/8インチ)→866A(ST)
我国:HX-966(ナス、但しトップキャップ3/8インチ)→2H66(ST、トップキャップ5/8インチとなる)→2H66A(ストレート)
となっており、サフィックスの付け方が異なっていて、866Aと2H66とが同じで、866Aと2H66Aとが同じではない(電気的には同じですが外観が異なる)ことに注意が必要です。
RCA 866
管壁には、八角形の囲みの中に"866"とプリントされている。ベースには"Radiotron"の刻印。
トッププレートは円盤。ヒーターは、最もシンプルに、縦に逆V字型。
RCA/de Forest 866
RCAは、de Forestを買収した後の一時期、送信用の球にRCA/de Forestのブランドを付していたが、その当時の球。ベースは"RCA/de Forest"の刻印。
とにかく内部には水銀がたっぷりと入れられている。
Raytheon 866
管壁には、"Raytheon"とその下に"866"とプリントされている。反対側にはラベル。
ヒーターは、水平にM字+V型(サインカーブで2周期分)。ステムの上部に遮蔽板が設けられている。
管壁には、"Raytheon"とその下の八角形の囲みの中に"866"とプリントされている。反対側にはラベル。ベースには"Raytheon"のオレンジ色のプリント。ステムの上部の遮蔽板は、こちらの方が良く見える。
ヒーターは、上のものと同様に、水平にM字+V型(サインカーブで2周期分)。
Sylvania 866
ベースには、刻印で管名が刻されている。管壁に銀文字でSylvaniaとプリントされている。
ヒーターは、水平にピンと張ったZ字型。
Federal 866
ベースには、刻印でFEDERALと刻されている。管壁に八角形の囲みの中に"866"とプリントされている。
ヒーターは、襞襞に折り畳んだM字+Z字型。
Taylor 866
管壁には、見えにくいが"TAYLOR"とその下に"866"とプリントされている。
ヒーターは、細かい折り襞を付けた円形水平状(菊花様)。
こちらは別の球。管壁に"TAYLOR"とみえる。
ヒーターなどの構造は、上のものと同様。
こちらはまた違う球の元箱。同封されていたデータシートから1940年1月製とのこと。
内部構造は、ヒーターの周りに円筒形のカバーが設けられ、866Aの様な構造となる。
トップキャップの根本にセラミックのスペーサーが設けられ、ますます866Aの様な構造。
マツダ HX-966
国産の866相当管。管壁に○にマツダのマークと、管名。反対側には、○にTEC、ロット番号、製造年月日(昭和26年5月2日)、○に検、がプリントされている。内部は、ステムが高い位置にあり、球の全長が長くなっている。
トップのプレートキャップの寸法だけが、5/8インチ径の866とは異なります。866よりは細めの3/8インチ径(807などと同じ)となります。プレートキャップに金属リボンでも巻き付けてからキャップを填めれば、そのまま差し替えも可能です。プレートキャップはセラミックスペーサーを介さずに直接ガラスに装着されている。
東芝 2H66
元箱。送信用だけあってしっかりとした段ボール箱に入っている。
ST型となり、トップキャップも直径5/8インチと大きくなって、866Aと互換となった。管壁に四角の中に管名とToshibaのマーク。866Aと互換であることも表示されている。
トップからの眺め。トップキャップはセラミックスペーサーを介して装着されている。
東芝 2H66A
元箱。
ストレート型となった。管壁に四角の中に管名とToshibaのマーク。
トップからの眺め。ガラスがストレートとなった以外は全く同じ構造。
元箱。こちらは後期型。ラベルのデザイン異なって、社名表記が英語となった。
内部構造は、上と全く同じだが、管名表記がベース部にシール貼付に変わった。
トップからの眺め。ラベルシール以外は全く同じ構造。
NEC 2H66
赤文字で社名とブランドマークと管名が表記されている。(866-A/866)とも表記されている。反対側には、PAT189943と1本毎のロット番号が銀文字で表記されている。
トップからの眺め。トップキャップとセラミックスペーサーの形状が東芝製とは少し異なる。
TEN 2H66
元箱。箱のみ。トップに1本毎のロット番号が打たれている。
日立 2H66
元箱。箱のみ。トップに1本毎のロット番号が打たれている。
日立 2H66A
ストレート型。管壁にブランドマークと社名と管名と1本毎のロット番号が白プリントされている。1962年11月製。日立製らしくガラスも厚い感じで、重く感じられ、全体的にごっつい感じに作られている。
トップからの眺め。見どころは、トップキャップを直接ガラスと接合してシールしているところ。安易(?)にセラミックスペーサーを使用せずに、ウランガラス使用かどうか確認していないが頑張ってシールしているところに、技術の日立の拘りを感じてしまう。
(2011/04/24)
(2012/12/23)
(2013/02/24)
(2013/03/24)
(2013/04/28)