807系 送信用傍熱ビーム4極管

 807は、電力増幅用の出力管6L6Gを送信用に適用すべく、トッププレートにして耐圧を向上させた球です。世界中の各国で広く製造され、業務用の送信機だけでなく、PA用やアマチュア無線にも広く使われました。ST16型の割に比較的安く入手できて好きな球の1つです。

 

RCA 807

オリジナルのタイトベース。当然袴(船)も付いています。上下からセラミックとマイカでサポートされた丁寧な造り。

ユニークなのは、一見するとステムからヒーターへの配線が見あたらない。良く見るとヒーターの引き出し線は、リボン状となって、2枚の下側マイカ板の間を通って、両端の上下マイカに貫通しているピラーを経由してステムに通っている。

 

 

マツダ UY-807

マツダの最初期型。管壁に○にマツダのマークと管名がプリントされている。オリジナルのタイトベースを踏襲して全く同様に造られている。但し、ベースには送信管用の太いバイヨネットピンが埋め込まれている。

ステム部分の拡大。オリジナルと全く同様にヒーターからの引き出し線が見当たらない。ヒーター配線は、プレート下部と舟(袴)との間の2枚マイカの間をリボンとして外側に通して両脇の太いサポートピラーからステムに繋がっている。マイカ板の中間部分(舟の外側辺り)に挟まれたリボンの影が薄く見える。

トップからの眺めも全く同様。

 

 

管壁には八角形の中に管名。反対側には○にマツダのマーク。黒ベークベース。

トップマイカが円形で無くなって矩形になった。

 

 

管壁の管名とマツダの表記は同じ面で上下になった。真鍮ピンになった。

 

 

マツダ時代の大きな元箱。

形状は上の球と全く同様。経年で銀文字も変色している。真ん中の写真には"26・4"とある。昭和26年4月に製造されたものと思われる。電極の下側にちゃんと舟(袴)が付いている。

真面目に頑張って造られています。小学校の運動会の拡声器用などで大活躍したことでしょう。

 

 

黒化プレート。ダブルゲッター。舟が無い。セラミックサポートも廃止された。

トップマイカは円形でサイドマイカも設けられている。

 

 

東芝 UY-807

東芝となってからの球。ベースが汚くてすみません。ベースに東芝のシール。構造的には上の球と同じ。

 

 

Raytheon RK-39

 タイトベースで、管壁には、RAYTHEONRK-39とプリントされている。上下からセラミックとマイカでサポートされた丁寧な造りで見事。ステムは大型4ピラー。ものの本には、ノンビームヴァージョンとあるが、普通のビーム管構造。

トップからの眺め。トップのシールドはメッシュになっている。

 

 

元箱。

 タイトベースにRAYTHEONとオレンジプリントされた。他の内部構造などは上の球と同様。

トップからの眺め。トップのシールドは金属板となった。

 

 

マツダ UY-807A

我が国で戦時中に軍用に開発された球。小型堅牢とするために直管型となり、高周波特性を考慮してタイト付きのメタルベースとなった。戦後になっても、警察無線などに用いられた様だ。

ステムの上に舟もある。ステムはつまみ型。左の写真には、管壁に八角形の管名と、その上にサイクルマーク(プロペラロゴ)がプリントされている。真ん中の写真には、”昭和十九年十一月”と製造年月がスタンプされている。

トップからの眺め。上下のマイカ板を固定するピラーが見える。

底面からの眺め。タイト付きメタルベース。良く読めないが印がスタンプされている。

 

 

Fivre 6TP

イタリア製の球。チューブラー型のガラスで、メタルベースで、底面にはタイトが使われており、戦時中の軍用に用いられたものと思われる。ステムの上に舟もある。丁度我が国のUY-807Aと同じ様な使われ方をしたのではと推測される。但し、足はUZ6ピンなので差し替えは出来ない。トップキャップも小さめ。

トップからの眺め。

 

 

他の球についても、順次追加してゆきます。

 

 

(2007/10/27)

(2012/10/21)

(2012/11/18)

(2012/12/23)

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(2018/09/30)

(2020/04/26)

(2022/06/26)

 

            規格表 アメリカ製オーディオ球 07ナンバー 39ナンバー RKシリーズ 総目録 真空管トップ トップ