6Z-DH3A系 検波増幅用傍熱2極3極複合管(日本独自球)

 

 6Z-DH3は、我が国独自の球で、戦後のGHQによる指示の下、ラジオのスーパー化が進められ、我が国ではDAVCが不要であるから75の2極部は1個のみで良いとの判断の下、ベースはUZのままで75と挿し替え可能な様にと開発された球です。その後、トランスレス用の12V管である12Z-DH3が出て、75との互換性が不要となって、シングルエンドの球が12Z-DH3Aとして開発されました。75と挿し替え可能な様にUZとしていたため余っていたピンにグリッドを接続できたので、足はUZベースのままですが、ピン配列が異なります。具体的には、DH3の3番ピンが2極部のプレート、4番ピンがNC(空)だったのを、DH3Aでは、3番ピンに3極部のグリッドが割り込み、4番ピンに2極部のプレートが移動しています。

 6Z-DH3Aは、初めにNECが独断で、12Z-DH3Aを6.3V化して売り出した球の様ですが、シングルエンドで使いやすいので、我が国では、各社で製造され、五球スーパーの第2検波低周波増幅用として定番の球となり沢山用いられました。その派生品として、戦前のラヂオの改造用に3Z-DH3Aなどという球も製造されました。

 その後、米国での75からの大本の流れとしては、GT管では6SQ7/GT、mT管では6AT66AV6に受け継がれて行きます。

 

 

マツダ 6Z-DH3

元箱。

管壁に〇にマツダと管名。リブ無しプレート。プレートにカシメ穴なし。

トップからの眺め。

 

別の球。内部構造は全く同じ。

トップからの眺めも全く同じ。

 

 

NEC 6Z-DH3A

管壁に赤プリント。このプリントが剥がれやすくて困る。上部に3極管部、下部に2極管部。リブ付きニッケルプレート。グリッドはトップの放熱フィンの所からプレートを回避しつつ反対側から中間マイカとボトムマイカの孔を通して延々とステムまで引き出しているのは、6ZDH3の内部構造をそのまま踏襲した名残でしょう。

トップからの眺め。

 

管壁に銀プリントとなった。内部構造は全く同じ。足ピンが一部潰れている。

トップからの眺めも全く同じ。

 

 

マツダ 6Z-DH3A

なで肩タイプ。管壁に〇にマツダと管名。やや灰色っぽい黒化リブ無しプレート。カシメ孔は左右3個ずつ。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。

 

別の球。内部構造は全く同じ。

トップからの眺めも全く同じ。

 

別の球。なで肩タイプ。管壁に〇にマツダと管名。黒っぽい黒化リブ無しプレート。カシメ孔は左右2個ずつとなった。

トップからの眺め。マグネシア塗布マイカとなった。

底部からの眺め。2極管部の拡大。外側の四角い囲みの金属板は、プレートではなくシールド。プレートはさらにその内部にある。

 

別の球。構造は上の球と全く同じ。

 

 

松下 6Z-DH3A

ベースに銀プリント。管名の左側に〇にナショナルのマークがある。アルミクラッド鉄製のリブ無しプレート。製造ロットは、RL(1954年12月製と推定)。材料をケチるための、このプレートの片持ち支持構造が大嫌いでしたが、改めて見てみると、プレート支持支柱と反対側の支柱をグリッドの引き出しに用いており、他社製よりも合理的な構造であると感じた。

トップからの眺め。グリッド放熱フィンが省略されているのも松下ならでは。

 

 

テン 6Z-DH3A

管壁には、○の中にTENのマーク。その下に、八角の中に管名。ニッケルの光沢リブ無しプレート。カシメ孔は左右2個ずつ。ただし、一方のフィンの幅を狭くして、ステムから延びた支柱を用いない様にして、グリッドからの線をその支柱に接続している。ロットはB12S

トップからの眺め。マグネシア塗布のマイカ。

 

 

東眞 6Z-DH3A

管壁に赤プリント。黒っぽいリブ付き光沢プレート。カシメ孔無し。53-6(1953年6月製)ともプリントされている。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。

 

 

サン 6Z-DH3A

ベースにSUNのマーク。ニッケルの光沢リブ無しプレート。カシメ孔は無し。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。プレートはプレート材の左右各々端部2ヶ所を爪状(先は丸い)に伸ばしてトップマイカの孔に挿入して、左右各々2つの爪を外側に曲げていることで固定している。

 

ベースにSUNのマークが変更された。内部構造は全く同じ。

トップからの眺めも全く同じ。

 

 

光電気(HEC) 6Z-DH3A

管壁に黄色プリント。やや黒色リブ付きプレート。カシメ孔無し。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。

 

 

フジ 6Z-DH3A

管壁に金プリント。やや黒色リブ付きプレート。カシメ孔無し。1952-12(1952年12月製)ともプリントされている。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。

 

 

不明 6Z-DH3A

やや黒色リブ無しプレート。カシメ孔無し。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。

 

 

不明 6Z-DH3A

やや黒色リブ無しプレート。カシメ孔無し。プレート材は上の球にそっくり。

トップからの眺め。トップマイカはマグネシア塗布でない。トップマイカの形とプレートの固定方法が上の球とは異なる。

 

 

 

他にもありますので、見つけ次第追加します。

 

 

(2016/05/21)

(2021/03/28)

(2021/05/30)

(2021/11/28)

 

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