24Z-K2 倍電圧整流用傍熱双2極管
それまで米国由来の倍電圧整流用トランスレス球として25Z5などがあり国産化もされていた様ですが、ヒーター電流300mAで消費電力やロスも大きかったため、さらに節約型のヒーター電流150mAシリーズとして、昭和14(1939)年に東京電気(マツダ)がトランスレスラジオ用として開発した整流管が24Z-K2です。我が国のAC100Vの半波整流では得られる直流電圧が低いため出力管などの動作が苦しく、倍電圧整流管の登場となるのですが、今度は整流管のヒーター・カソード間の耐圧がかなり厳しいことになってしまいました。(一応規格上ではヒーター・カソード間耐圧300Vmaxとなっていますが実際にはきつかったと思います。)局型ラジオにも採用され、戦後になって国民型ラジオにも使われ、保守用としても作られ続けました。技術力が伴わないことに起因するしわ寄せを一身に背負わされるという日本的な悲哀を感じてしまい好きな球の1つです。
24Z-K2の元となった真空管としては、米国の25X6GT辺りではないかと勝手に想像しています。24Z-K2が昭和14(1939)年のいつ頃登場したか定かではありませんが、25X6GTが1939年3月31日にRMAに登録されていますので、これを早速入手して参考にした可能性は大いにあると思います。なお、25X6GTの規格は、AC入力125V、DC出力60mAですので、流石に国産の24Z-K2よりも大分上回っていますが、足が違うだけで、アダプターを付ければ、24Z-K2とそのまま差し替えられます。ただ、25X6GTの方が数年程で製造中止になったので今となっては珍しいでしょう。まあ異国でコンセプトが引き継がれたということでしょうか。
マツダ 24Z-K2
ベースは赤刻印タイプ。○放マークも見える。足ピンは真鍮。
トップからの眺め。カソードスリーブが見える。2本のヒーターはバーで接続されている。
こちらは別の球。ベースは赤刻印タイプ。○放マークも見える。足ピンは真鍮。緑色ガラス。
トップからの眺め。2本のヒーターがバーで接続されているのも同じ構造。
こちも別の球。ベースが刻印でなくなった。管壁には〇の中に管名。反対側に○にマツダのマークと、その下に一級マークも見える。足ピンは鉄。緑色ガラス。
トップからの眺めは同じ構造。
管名は八角形の枠の中に白いスタンプで押され、反対側には○にマツダマーク。足ピンは真鍮。
ヒーターは通常型となり、下部で直列に接続されている。
管名は八角形の枠の中に白いスタンプで押され、反対側にはサイクルマーク(プロペラロゴ)。足ピンは真鍮。ベースは良く見ると焦げ茶の様。
ヒーター等の構造は同じ。
こちらは、○にマツダマークの下に、八角形囲みの管名の銀プリント。反対側には○に一級マーク。戦後の昭和23(1948)年頃の製造か。
管内の基本的な構造は変わっていない様だ。
こちらは元箱。定価450円とある。
戦後も大分経ってからの保守用。なで肩ガラス。管壁には、上と同様に、○にマツダマークの下に、八角形囲みの管名の銀プリント。プレートはアルミクラッドに穴を開けてカシメている。
マイカにもマグネシアが塗布されている。
ドン/DON 24Z-K2
DONと管名が四角の枠内でスタンプされている。反対側は、"DON mott"のマーク。
同時期のマツダと造りはほとんど同じ。
(2010/06/27)
(2016/04/24)
(2020/09/27)