110 空間電荷格子型検波増幅用直熱4極管

 

 110は、ショットキーバリアダイオードで有名な、ドイツのショットキー博士(Dr. Walter Schottky)によって、電話のリピーター用としてSiemens&Halskeで開発されました。4極真空管の元祖といっても良いかと思います。ヨーロッパでは、早くから空間電荷格子型(スペースチャージグリッド)4極管が現れていたことになります。スペースチャージ球は、同じドイツTelefunkenRE074dやオランダPhilipsA141などを経て、我が国にも伝わり、有名なUX-111Bなどにつながってゆくこととなります。

 

Siemens&Halske 110

 BOなどと同じ様な、水平一直線フィラメントを取り囲んで、円筒形水平ニッケルプレートと円筒型グリッドとを、枝分かれしたガラスの腕で支える構造。もちろんグリッドは同心状に2組あります。将にドイツのガラス細工の芸術品。古いSiemensの球はガラス自体も透明感があって綺麗です。管壁右寄りに、"110"とSiemensのエッチングマークが見える。ベースに巻いてある紙のリボンにも型番と1本毎のロットナンバーがスタンプされている。ステムは当然ながらプラチナ。

この写真では、管壁左寄りに、"110"とSiemensのエッチングマークが見える。(丁度、プレートの円筒の正面位置。)左右に2つに分かれた4本のフォーク状のガラスの腕によって、内側2個ずつでプレートを保持して、外側1個ずつで第1グリッドと第2グリッドとをそれぞれ支えるという芸術的な構造。工業生産品であってもこれだけのものを造り上げるというところにドイツの国民性と誇りとそれらによってしっかりと支えられた確かな技術を感じます。

こちらは、ソケットに半分挿入した状態。

こちらは、底面から見たオリジナルのソケット。こちらもドイツ製らしく丁寧に完璧に作られていて見事です。

 

 

(2009/11/29)

(2017/11/26)

 

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