LS50 送信変調用傍熱ビーム4極管

 

LS50は、第二次世界大戦中にドイツのウルツブルグ(Würzburg)・レーダーの変調管として開発され、本体には8本使用され発振管のLS180に変調信号を送り込んでいました。ドイツから実物や技術を接収したソ連(ロシア)製のGU50(足ピン、ソケットは異なる)などと共にオーディオアンプに用いられることもある様ですが、ちゃんとウルツブルグ・レーダーのことに触れてもらいたいものです。

ドイツから我が国へのウルツブルグ・レーダーの導入は、潜水艦を使用して惨憺たる犠牲の下に何とか技術者、技師、図面などがもたらされ、やっとのことで国産ウルツブルグ・レーダーが完成したのは終戦直前でした。終戦直前とはいえ、困難な状況下レーダーを完成された関係者の方々の努力には頭が下がります。その国産化までの経緯は、津田精一著「幻のレーダーウルツブルグ」に、ドイツ本国からレーダー現物や図面などが日本国まで輸送される経緯は、吉村昭著「深海の使者」に、それぞれ詳しいので、そちらをご覧下さい。

戦後になって、同じ電極構造で(足ピンは異なりますが)ヒーター12.6VのままFL152として、そして6.3VではEL152として、色々な分野で使われました。プレート損失40Wですので、丁度プレート損失50WのEL156の弟分と言えそうです。LS50EL152とを3結で少しの時間聴き比べてみましたが、ヒーター電圧、製造時期、使用材料、何の違いのせいか解りませんが、やはり一寸ニュアンスが異なります。当方は、やはりLS50の方が好きです。

下記のとおり、球とソケットとを両方所持していますので、何れアンプを作って供養してやりたいと思っています。

 

Telefunken LS50

元箱。

収納状況。ノブ付きの状態で納まっています。

社名と管名、及び1本毎にロット番号がガラス壁面に金色でエッチングされている。国防軍用。面白いのは、Telefunkenでのプリントと国防軍のプリントが上下逆になっている。

ノブの付いている部分のアップ。

ノブを取り外した状態。

 

こちらは別の球です。

管壁のプリントは上の球と同様だが、Telefunkenの社名がダイアモンドマークとなっている。

足ピン部分のアップ。内部に封止部が収められた頑丈なセンターガイド。

トップからの眺め。放熱を兼ねた大きなダイキャスト。中心部の穴にはネジが切ってある。

LS50用のソケット2種。左が通常型で右が末期型と思われる。

左の通常型。アルミ製。

底部からの眺め。セラミックに足ピン受け金具も二重ナットで固定している。

上面から底を見る。シールド板が見え、足ピン受け金具も4つの部材をカシメてスリットを入れた様な形を作っている。非常に凝った造り。

右の末期型。鉄製となった。

上面から底を見る。シールド板が無くなり、足ピン受け金具も元のものと同じ造りのものは3個のみとなり、他は単に挟むだけのΩ型の受け金具となった。流石のドイツも大戦末期となって苦しくなって来たのかなと実感させられる。

ソケットに球を差し込んだ状態。ただし、きっちりと嵌めると取り出しが大変なので途中までとしている。球を挿入した際には、球トップのダイキャストのフランジ部とソケットの端部がピッタリと合わさり、機器に組み込んだ状態では突出部が無くなり面一となる。したがって、球をソケットから取り外すときには、ダイキャストトップの中心部に切ってあるネジ穴に、専用のノブをネジ込んでから、ノブを手で引っ張るしか方法が無い。ドイツ式の設計は徹底して拘ります。

 

(2015/02/22)

(2015/11/22)

(2016/01/24)

 

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