6A7 周波数変換用傍熱7極管

 

 6A7は、2A7のヒーターを6.3Vとした球(ペンタグリッドコンバーター)で、2A7と同じ年(1934(昭和9)年)に米国で開発されました。我が国でも同年内に製造されました。これをメタル管としたのが、6A8となります。

 

 

マツダ Ut-6A7

刻印ベース。マツダと管名が刻印されている。管壁には、何かのマーク。そして、大日本帝国海軍に納入された証の錨マーク。リブ無しのプレートが見える。

トップからの眺め。サイドマイカが設けられており、トップマイカはマグネシア塗布で2孔が設けられている。プレート支柱は細長い金属小片で固定され、G4からターンしてグリッドキャップに繋いでいる。そして、トップマイカの上部で、G3とG5とを繋いでいる。

 

刻印ベースでなくなった。括れ部の上部までカーボンスートされている。

トップからの眺めは同様。G4からグリッドキャップへはターンではなくU字状になっている。

 

こちらは、Philipsのベースにリベースされている。管壁に管名がプリントされている。あとは同様。

トップからの眺め。トップマイカがマグネシア塗布でなくなり、G4からはターンすることなく直線的にグリッドキャップに繋いでいる以外は同様。

 

足が真鍮ピンとなった。管壁に、管名と〇にマツダと◎に一級とプリント。他は同様。

トップからの眺めは同じ。

 

真鍮ピン。管壁に、◎に一級とプリント。管名とマツダ表記はないものの、下の写真のとおり、G4からグリッドキャップに繋いでいて、トップマイカの上部で、G3とG5とを繋いでいることから、Ut-6L7Gではなく、そしてヒーターの点灯チェックから、Ut-6A7と判断した。

 

トップからの眺めは同じ。

 

こちらは、マツダUt-2A7のベースにリベースされている。グリッドキャップが真鍮製。管壁に、管名と〇にマツダと◎に一級とプリント。他は同様。

トップからの眺めも同じ。

 

こちらは、足が真鍮ピン。管壁に、管名と〇にマツダと◎に一級とプリント。プレートは同様。グリッドキャップが失われている。

トップからの眺め。サイドマイカがなくなり、トップマイカが短冊型となった。金属小片によるプレート支柱の固定となった。G4からグリッドキャップに直線的に繋いでいるのは同じ。そして、トップマイカの上部で、G3とG5とを繋いでいるのも同じ。ただし、Ut-6L7Gと異なり、G1の放熱板はない。

 

元箱。

こちらは、戦後大分経ってなで肩となった球。〇にマツダの下に管名がプリントされている。プレートはリブ無しのままで、カーボンスートがアクアダックとなった。

トップからの眺め。トップマイカが短冊型なのは同様。金属小片によるプレート支柱の固定は変わらないが、金属小片の形と押さえる方向が変わった。Ut-2A7と異なり、G4からターンせずにグリッドキャップに繋いでいるのも同じ。そして、トップマイカの上部で、G3とG5とを繋いでいるのは同じ。ただし、Ut-6L7Gと異なり、G1の放熱板はない。

 

こちらは、別の球。構造は上の球と同様。

上部からの眺めも全く同様。

 

少なくとも、所持しているサンプルをみる限りでは、戦後大分経ってからのマツダのなで肩タイプにおいては、UZ-6C6UZ-6D6との識別ではないですが、グリッドキャップへの引き出し線がターンしているのがUt-2A7で、ターンしていないのがUt-6A7というふうに、ヒーターを点火せずとも両者を識別できるようにしていたのではと私には思われます。

 

 

(2020/05/24)

(2023/05/29)

 

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