UZ-109C 検波増幅用直熱双3極管(日本独自球)
UZ-109Cは、UX-109Aと同じ大きさのST12型の1本のガラス管の中に2個分の電極を収めた我が国独自の双3極管で、軍用無線機用として、昭和9(1934)年頃(と思われる)に東京電気(マツダ)により開発された。
型 名 | Ef/V | If/A | Ep/V | Ip/mA | Eg/V | Gm/μS | μ | Ri/kΩ | ベース | |
UZ-109C | 1.1 | 0.12 | 1ユニット分 | 135 | 5.9 | -4.5 | 770 | 8.5 | 11 | UZ |
当然ながら、電気的な特性は、UX-109Aと全く同じとなっている。フィラメントのみ並列接続。
それにしても、UX-109ではなくUX-109Aを2個封入したのであれば、UZ-109ACと命名すべきではと思われるが、我が国におけるサフィックスも含めた管名の付け方には困ってしまう。
マツダ UZ-109C
元箱。この頃は立派な箱に入れられていた。管名はスタンプされている。〇に良ともスタンプされている。
刻印ベース。管壁に八角形の中に管名のプリント。ラベルには、京と△のマークとロットナンバーと昭和17年8月製造のスタンプが捺されている。角形(UX-109Aの3極管)のリブ付きプレートが2個並んでいるのが良く見える。
トップからの眺め。〇にマツダのトップマーク。フィラメントは直線の1本で、フィラメントをトップマイカの△の穴に引っ掛けて位置決めと張力付与をしている。この頃はまだ造りが良い。
こちらは別の球。刻印ベース。管壁に八角形の中に管名。ラベルが無いこと以外は上の球と同様。
トップからの眺め。〇にマツダのトップマーク。基本的な構造は上と同じであるが、フィラメント引っ掛け用のトップマイカの穴の形が相違する。所持している他の球を確認したが、同じ時期で両方のタイプが存在していることから、この違いは、製造時期(初期型と後期型)ではなく、製造ラインで異なるのではと推測している。
元箱。紙質が若干低下した。管名はスタンプされている。〇に良ともスタンプされている。そして驚くことに、何と”松田”さんが、検認・検印している。
こちらも別の球。刻印ベース。管壁に八角形の中に管名のプリント。ラベルには、京と△のマークとロットナンバーと昭和18年1月製造のスタンプが捺されている。少し緑ガラス。
トップからの眺めも同様。
元箱。白箱にスタンプだけとなった。
こちらも別の球。刻印でないベース。管壁に八角形の中に管名と19-6(昭和19年6月製)のプリント。反対側に〇にマツダのマーク。緑色ガラス。寸法が異なるせいか電極をトップの絞り部分に充分に押し込めない状態で組み立てられている。サイドマイカも着色している。
トップからの眺めも同様。△穴トップマイカ。
こちらも別の球。刻印でないベース。管壁に八角形の中に管名と19-7(昭和19年7月製)のプリント。反対側に〇にマツダのマーク。緑色ガラス。
トップからの眺めも同様。△穴トップマイカ。
(2019/08/25)
(2023/02/26)
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