Myers Tubes

 

 マイヤース(Elman B. Myers)は、一時期de Forestの会社に勤めていて、その後独立して自分で眞空管を製造していましたが、de ForestMarconiRCAWEなどから立て続けに特許侵害で訴えられたため、カナダのモントリオールに逃げて、E.B.Mayers社を設立して、そこで独特のMyers Tubeを製造販売しました。3件のカナダ特許(Pat.No.229182,229183,229184)を取得した様で、出願日は1922(大正11)年1月14日です。特許制度が属地主義であることを上手に利用した戦略と思います。カナダ国内への販売以外にも英国等の英連邦内の国に輸出されたとのことです。ただ肝心の米国への輸出販売は出来なかったため、後になって(1925年頃)、また米国に戻って、眞空管の製造を始めたそうですが、その後は余り注意を引くこともなく消えていった様です。

 

Myers Universal

初期型と思われる元箱。

 中身は、チューブラーオーディオンを思わせる様なダブルエンド構造の将に管。両側に色で区別した赤色と黒色のベースを着けている。各側に2つのピン(というかステムのピラーをそのまま延長した端子)が出され、各側の1個がそれぞれフィラメント、赤側の他方がプレート、黒側の他方がグリッドとなっている。ガラス管の中央に真空に引いた後の封止部がある。

後期型と思われる綺麗な元箱。別の箱には、取り付けネジと保持金具と孔開け用の当て紙も一緒に付属していた。

 球の内部構造は変化なし。ガラス部にエッチングで"MADE IN CANADA"とある。その点を特に強調したかったのだろう。データシートにカナダ特許の番号が3件記載されていた。

 球をオリジナルのホルダーに取り付けた状態。REDとBLACKと間違えない様に浮き出し文字を付けている。上がREDで下がBLACK。ホルダーの中央部には孔を設けていて、その孔に、球の弱点である排気部を収納するという設計となっている。米国製とカナダ製とがあった。球も活きているのでこれを使って単球ラジオでも作ったら面白いのではと思っている。

 

(2010/09/19)

 

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