3NF 検波増幅電力増幅用複合直熱3極管

 

 3NFは、1926年に登場したラジオ用の真空管で、私の宝物の1本です。当時ドイツではラジオの税金が真空管の本数に応じて課税されていたそうです(未確認)ので、真空管3本分(検波、低周波増幅、電力増幅)を1本の真空管の中に纏めて押し込んで、ついでに何と抵抗4個とコンデンサー2個も封入してしまいました。あと他にコイルとバリコンとラッパと電池があれば、たちまちラジオが出来上がります。ソケットも所持していますので、是非ともラジオを作ってやりたいものです。

 複合管の元祖で、それどころかICの元祖と思います。なお、内部の真空管が1本だけ断線した場合でも、全部を新たに買い換える必要はなく、管を切り開いて、フィラメントを張り替えて、再度内部を真空引きして再利用するサービスも行っていたとのことです。英国では、RNF7の名称で発売されました。後になって、パワーアップ版や省電力版など色々と改良バージョンが登場しました。後世になって代用球も登場した様ですが所持していません。

 

Loewe 3NF

 元箱です。厚紙製で中枠部分に木を組んでいます。紐を張り巡らして球を空中で保持して、衝撃を吸収する様になっています。

 内部はどの方向から見ても飽きません。本当にドイツのガラス細工の芸術品を見る思いです。足ピンは、6本で3本のバヨネットピンが付いています。

 ステムから2本のガラスピラーを立ち上げて、それで各パーツを支持している。上部にガラスビードに支持された水平円筒プレート(フィラメントは一直線)の3極管が左右に2組設けられている。中央には垂直にやや大型の円筒プレート(こちらもフィラメントは一直線)の電力増幅用3極管が設けられていて、周りをマイカ板でコの字形に取り囲んでいる。

 下部に設けられたコンデンサーが左右に2本とそれらの両側に抵抗が合計4本見えます。1つずつガラス管中に封入して中を真空に封じている。ここまで徹底してやるのがドイツ流。

 工業生産品でこれだけのものを造り上げるというところにドイツの国民性と誇りとそれらによってしっかりと支えられた確かな技術を感じます。脱帽。

 

 

(2009/12/27)

 

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