84 両波整流用傍熱双2極管

 84は、小型ラジオの整流管として開発された(「マツダ受信用眞空管ハンドブック」(1951)には、「自動車ラジオに整流出力を供給するよう設計されたものです。」とある。)。最初期はナス型だったが、間もなくST12型となった。6Z4も同じ球。内部構造のバリエーションが豊富で見ていても楽しめる。RCASylvaniaTung-Solとでは若干最大定格が異なる。相当管として、メタル管で6X5、GT管で6X5G6X5GT、mT化されて6X4に続いて行く。なお、我が国におけるKY-84は米国製(6.3V0.5A)とはヒーター電流が若干異なり(6.3V0.6A)、また、独自にヒーターを12.6V0.3Aに変更したKY-84Aも製造された。ラジオや小型アンプ用として重宝な球で、私の好きな球の1つ。

 

National Union NU-84

最初期のナス型。84のナスは珍しい。ベースには、"NATIONAL UNION"のマークと共に"NU-84"とも刻印。プレート構造は円筒型で内部にグリッド(?)様の支柱も見える。

2本のヒーターを頂部で支えると共に直列に接続している。

 

 

"NATIONAL UNION"と刻印。"84/6Z4"はガラス面にプリント。プレート構造はナス型と同じで円筒型。グリッド様の支柱も見える。STタイプの初期型。

 

 

Raytheon 6Z4/84

4ピラー。ダブルヒータータイプ、各々にプレートの旧型。

 

 

4ピラー。シングルヒーターで、上下に2枚のプレートの新型。

 

 

Raytheon 84

4ピラーでないタイプ。"RAYTHEON"と刻印。"84"はガラス面にプリント。プレート構造は上の新型と同じ。

 

 

RCA 84

銀プリント。米国海軍用。

 

 

Rogers(CANADA) 84M

足は、US8ピン。

Rogers得意のメタルスプレー。"84M"となっているものの足はUSオクタルなので、6X5G相当といったところ。

 

 

マツダ KY-84

大きめの元箱。

初期のダブルヒータータイプ。黒化プレート。サイドマイカ付き。

トップには、○にマツダのマーク。

 

こちらは別の球の元箱。管名がスタンプとなった。

側面の特許は5件。

刻印ベース。管壁には、八角形の中に管名。反対側には、〇にマツダのマーク。ダブルヒーターで着炭(黒化)プレートだが、サイドマイカが無くなり、緑ガラスとなった。紙のラベルには、昭和18(1943)年3月製造とスタンプされている。

トップからの眺め。トップマイカとボトムマイカともに短冊型となった。

 

こちらも別の球の元箱。管名はスタンプ。

側面の特許は4件。

刻印ベース。管壁には、八角形の中に管名。反対側には、〇にマツダのマーク。その下には錨マークもプリントされている。ダブルヒーターで着炭(黒化)プレートだが、サイドマイカが無く、緑ガラスであることは全く同じ。紙のラベルには、昭和18(1943)年9月製造とスタンプされている。

トップからの眺め。下部マイカがマグネシア塗布タイプとなった。

 

刻印ベースでなくなった。管壁には、八角形の中に管名。反対側には、〇にマツダのマーク。ベースにガラスと内部電極とが傾斜して取り付けられている。内部が黒ずんでいて良く見えないが、ダブルヒーターで着炭(黒化)プレート、サイドマイカが無く、緑ガラスで、全く同じ構造の様。紙のラベルには、星マークとともに製造「19.1」(昭和19(1944)年1月)とスタンプされている。

トップからの眺め。黒っぽくて良く見えないが、同じ構造の様だ。下部マイカはマグネシア塗布でない様だ。

 

 

 

他の球についても、順次追加する。

 

(2007/01/28)

(2007/01/29)

(2007/06/23)

(2009/10/25)

(2011/07/24)

(2011/09/25)

(2021/11/28)

(2022/08/28)

(2023/04/30)

 

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